育休中の副業に興味はあるものの、「給付金が減るのでは?」「会社にバレたらどうなる?」「いくらまでなら稼いでいいの?」と不安で一歩を踏み出せない方は少なくありません。実際、育休中の副業には法律・会社規則・税金の3つの視点から確認すべきルールがあり、知らずに始めると思わぬトラブルにつながることもあります。
育休中の副業は制度上は可能ですが、給付金への影響や会社バレのリスク、確定申告の要否など、押さえておくべきポイントがいくつも存在します。
本記事では、育休中の副業に関するルールと注意点を整理した上で、リスクを避けながら安全に始められる副業の選び方まで解説します。読み終える頃には、自分の状況で何をすべきかが明確になり、安心して次の行動に進めるようになります。
育休中の副業は法律上可能?まず知るべき基本ルール
育休中に副業をしてもよいのか、まず法律上の扱いを正しく理解する必要があります。
結論から言えば、育児休業に関する法律では副業を禁止していませんが、実際に副業ができるかどうかは勤務先の規則や雇用形態によって異なります。
ここでは、副業を検討する前に押さえておくべき3つの基本ルールを整理します。
育児休業法では副業は禁止されていない
育児休業に関する法律である育児・介護休業法では、育休中の副業について明確な禁止規定はありません。
育児休業は労働者が育児に専念するための休業制度ですが、その期間中に別の仕事をすることを法律で制限する条文は存在しないためです。つまり、法律上は育休中であっても副業を行うこと自体は違法ではなく、制度の趣旨に反するものでもありません。
ただし、これは「法律で禁止されていない」という意味であり、「自由に何でもできる」ということではない点に注意が必要です。
副業をする際に最も気になる育児休業給付金への影響については、収入額や働き方によって扱いが変わります。
給付金は副業先での雇用保険加入状況や月あたりの就労日数によって支給停止になる場合があるため、次のセクションで詳しく解説します。
ただし会社の就業規則による制限がある可能性
多くの企業では就業規則で副業に関する規定を設けており、育休中であってもこれが適用される場合があります。
就業規則で副業が全面禁止されている場合や、事前申請・許可制になっている場合は、育休中であっても会社のルールに従う必要があります。
育休中は雇用契約が継続している状態であり、労働者としての地位は維持されています。
そのため、就業規則の効力も原則として有効であり、無断で副業を始めた場合は規則違反として懲戒処分の対象になる可能性があります。
副業を検討する際は、必ず自社の就業規則を確認し、副業が禁止または許可制の場合は人事部門に相談することが重要です。
就業規則の確認は、社内イントラネットや就業規則ファイルで「副業」「兼業」「他社での勤務」といったキーワードで検索するとスムーズです。
人事部門への相談は、メールで「育休中の副業に関する規定について確認したい」と伝えれば対応してもらえます。
正社員・契約社員・パートなど雇用形態によって規則の適用が異なる場合もあるため、自分の雇用形態を明示して確認するとよいでしょう。
近年は副業を認める企業も増えていますが、育休中の副業については会社ごとに判断が分かれるケースもあるため、事前の確認と申請手続きを怠らないようにしましょう。
公務員の場合は原則禁止(例外あり)
公務員の場合は、国家公務員法や地方公務員法によって営利目的の私企業への従事が原則として禁止されており、育休中であってもこの制限は基本的に継続します。
これは公務の中立性・公正性を保つための規定であり、民間企業とは異なる扱いになっています。
ただし、人事院規則・条例に基づく許可を得た場合には例外的に認められることもあります。
自営業として小規模な執筆活動や講演活動を行う場合、不動産賃貸が一定規模未満の場合などが該当します。
公務員が育休中に副業を検討する場合は、所属する組織の人事担当部門に相談し、許可が必要かどうかを必ず確認してください。
法律上は禁止されていないものの、実際に副業ができるかどうかは所属組織の規則に大きく依存することが分かりました。
次に気になるのは、副業をした場合に育児休業給付金にどのような影響があるのかという点です。
次のセクションでは、給付金の支給条件と副業収入の関係について詳しく解説します。
育休給付金への影響は?副業していくらまで稼げるのか
育休中に副業をする場合、最も気になるのが育児休業給付金への影響です。給付金が減額されたり停止されたりする条件を正しく理解しておかないと、かえって収入が減る可能性もあります。
ここでは、副業収入と給付金の関係について、制度上のルールと具体的な金額の目安を整理します。
育児休業給付金は「雇用保険の休業」が前提
育児休業給付金は、雇用保険に加入している労働者が育児のために休業した場合に支給される制度です。そのため、給付を受けるには「本来の勤務先を休業している」という状態が継続していることが前提となります。
副業を行う場合でも、この休業状態を損なわないことが求められます。
休業の定義は、勤務先との雇用契約が継続しながらも労働の義務が免除されている状態を指します。したがって、副業として別の雇用契約を結んだり、雇用保険に加入する形で働いたりすると、休業とはみなされなくなる可能性があります。
休業状態を保ちながら副業をするには、雇用契約を伴わない働き方を選ぶことが基本です。
具体的には、クラウドソーシングサイトでの受注、ハンドメイド作品の販売、ブログやアフィリエイトなど、個人事業として自分の裁量で進められる形態が該当します。これらは労働時間や勤務日の指定がなく、育児の合間に無理なく取り組めるという点でも育休中に適しています。
副業の収入額による給付金への影響
育児休業給付金は、副業による収入額に応じて支給額が調整される仕組みになっています。厚生労働省が定める基準では、休業開始時賃金日額をもとに算定した支給上限額と、副業による収入を合算して判定が行われます。
具体的には、給付金と副業収入の合計が休業前賃金の80%を超えると、その超過分だけ給付金が減額されます。
収入がまったくない場合は満額支給されますが、副業収入が増えるほど給付金は段階的に減ります。
月収上限の目安と計算方法
副業で得られる収入の上限は、休業前の月収によって異なります。一般的な目安として、休業前賃金の約80%に相当する額が、給付金と副業収入を合わせた上限ラインとなります。
たとえば休業前の月収が30万円だった場合、給付金と副業収入の合計が24万円程度を超えると、給付金が減額されます。
給付金の支給率は休業開始から6か月間は休業前賃金の67%相当、それ以降は50%相当であるため、副業で得られる収入の余地は時期によって変動します。
別のケースとして、休業前月収が20万円の場合、休業開始6か月以内であれば給付金は約13.4万円となるため、副業収入が約6.6万円までであれば合計が16万円となり減額されません。
ただし、これを超えると超過分が減額対象となります。
自分の正確な上限額を知るには、ハローワークで休業前賃金をもとに試算してもらうのが確実です
自分のケースに当てはまる正確な計算は、賃金日額や支給日数によって異なるため、ハローワークで具体的に確認することが確実です。
雇用保険に加入する働き方はNG
副業の形態として、アルバイトやパートタイムで雇用契約を結ぶ場合は注意が必要です。週20時間以上の勤務や、31日以上の雇用見込みがある場合は、副業先でも雇用保険への加入義務が生じます。
雇用保険に加入する形で働くと、育児休業中の「休業状態」とはみなされず、給付金の受給資格を失います。
そのため、育休中の副業は、フリーランスや業務委託、クラウドソーシングなど、雇用契約を伴わない働き方を選ぶことが基本となります。
契約を結ぶ前に、副業先との関係が雇用にあたらないか慎重に確認しておくと安心です。
副業の収入額だけでなく、働き方の形態そのものが給付金に影響することを理解したうえで、実際にどのような副業の種類があるのか、自分に合った選択肢を検討していきましょう。
副業が会社にバレる3つの経路と対策
育休中に副業を始める際、会社にバレるかどうかは多くの人が抱える不安の一つです。ただし、副業を検討する前に確認すべき重要な前提があります。
それは、自社の就業規則で副業が許可されているかどうかです。
就業規則は社内のイントラネットや総務部で閲覧できるほか、入社時に配布された就業規則のコピーを確認する方法もあります。チェックすべき箇所は「服務規律」「兼業・副業に関する規定」といった項目です。
副業が明確に禁止されている場合、発覚時には懲戒処分の対象となる可能性があるため、まずはこの確認が最優先となります。
仮に副業が許可されている、または規定に明記されていない場合でも、リスクを抑えるための具体的な方法があります。ここでは実際にバレる原因と対策を解説します。
なお、育休中の副業には通常の副業とは異なる注意点もあります。育休給付金は副業収入そのものでは減額されませんが、副業が「就労」とみなされ、育休を終了したと判断されるケースがあります。
特に雇用保険契約を結んでフルタイムに近い形で働く場合は、育休の要件を満たさなくなる可能性があるため注意が必要です。
住民税の通知でバレるケース
住民税の通知は、副業発覚の最も一般的な経路です。会社員の場合、住民税は給与から天引き(特別徴収)されるため、副業による所得が増えると翌年の住民税額が上昇し、会社の給与担当者が気づく可能性があります。
これを防ぐには、確定申告時に住民税の徴収方法を「普通徴収(自分で納付)」に切り替える必要があります。
ただし、普通徴収が選択できるのは副業が給与所得以外の場合に限られます。アルバイトやパートなど雇用契約を伴う副業の場合、給与所得として扱われるため、住民税は自動的に特別徴収となり、会社に合算されて通知されます。
フリーランス型の業務委託や事業所得として申告できる副業であれば、普通徴収を選択することで会社への通知を避けられます。
自治体によっては普通徴収の運用方針が異なる場合もあります。一部の自治体では副業分も含めて一律で特別徴収を推進していたり、普通徴収への切り替え申請に独自の書類提出を求めたりするケースがあります。
確定申告前に居住地の市区町村の住民税担当窓口に「副業分の住民税を普通徴収にできるか」を直接確認しておくと確実です。
SNSや知人経由でバレるケース
SNSでの発信や知人を通じた情報漏洩も、見落としがちなリスクです。副業の成果や活動内容をSNSで発信する際、本名やプロフィール写真、勤務先を連想させる情報が含まれていると、同僚や上司の目に留まる可能性があります。
特にInstagramやTwitterなどで顔出しをしている場合や、LinkedInで副業実績を記載している場合は注意が必要です。
また、取引先や顧客との関係で知人に副業が知られ、それが社内に伝わるケースもあります。地域コミュニティでの活動や、子育て関連のサービス提供など、育休中ならではの副業は身近な人との接点が多く、意図せず情報が広がりやすい傾向があります。
副業用のアカウントは個人情報を最小限にし、実名での活動が必要な場合でも勤務先に関する情報は一切載せないことが基本です
確定申告の手続きミスでバレるケース
確定申告時の記入ミスや書類の提出漏れも、発覚リスクを高める要因です。最も多いのは、確定申告書第二表の「住民税に関する事項」欄で、給与・公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法を「自分で納付」にチェックし忘れるケースです。
この欄を空白のまま提出すると、自動的に特別徴収となり、副業分の住民税も会社経由で徴収されます。
e-Taxで電子申告する場合も、該当項目の選択を見落とさないよう注意が必要です。また、副業の所得(収入から経費を引いた額)が年間20万円以下の場合は所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は別途必要になる場合があるため、自治体の窓口で確認することが推奨されます。
申告内容に不備があった場合、税務署や自治体から会社に問い合わせが入る可能性もゼロではありません。確定申告書の控えは必ず保管し、提出前に記入内容を再確認する習慣をつけましょう。
バレないための具体的な対策
副業を会社に知られずに続けるには、複数の対策を組み合わせることが重要です。
まず、副業の形態選びです。雇用契約ではなく業務委託や事業所得として扱われる働き方を選ぶことで、住民税の普通徴収が可能になります。
在宅でできるWebライターやデザイナー、ハンドメイド販売などは、育休中でも取り組みやすく、所得区分の面でも有利です。これらの副業は育児の合間に少しずつ進められるため、子どもの昼寝時間や夜間のすきま時間を活用して無理なく続けられる点でも育休中に適しています。
次に、情報管理の徹底です。SNSアカウントは副業専用のものを作成し、プロフィールや投稿内容に個人を特定できる情報を含めないようにします。
屋号やペンネームを使用する、顔出しを避けるといった工夫も効果的です。また、副業関連の郵便物が自宅に届く場合、家族に配慮してもらうなど物理的な情報漏洩対策も必要になります。
確定申告は毎年2月中旬から3月中旬が期限ですが、余裕を持って準備し、税理士や税務署の無料相談を活用することで記入ミスを防げます。特に初めて確定申告をする場合は、住民税の徴収方法選択について重点的に確認しましょう。
もし就業規則を確認した結果、副業が明確に禁止されていた場合でも、家計を支える方法はあります。副業以外の選択肢として、不用品販売(フリマアプリでの一時的な売却は事業とはみなされにくい)、家計の見直しによる支出削減、自治体の育児支援制度や給付金の活用などが考えられます。
また、育休明けの復職後に副業解禁を会社に提案する、転職を視野に入れるといった中長期的な選択肢も検討の余地があります。
ここまでバレる経路と対策を見てきましたが、副業による収入が一定額を超えた場合、確定申告が必須になります。次のセクションでは、育休中の副業でいくらから確定申告が必要になるのか、具体的な基準と手続きの流れを解説します。
育休中にできるおすすめ副業の種類と選び方
育休中の副業は、育児との両立を前提に選ぶ必要があります。ここでは、時間の融通が利きやすく、育児の合間に取り組める副業の種類を紹介します。
自分のスキルや生活リズムに合わせて、無理なく継続できる選択肢を見つけることが重要です。
なお、育休中の副業は法律上禁止されていません。育児休業給付金は「雇用保険の被保険者としての地位」を維持していることが受給要件であり、業務委託や自営業としての副業は受給に影響しないとされています。
ただし、別の会社と新たに雇用契約を結ぶと、複数の雇用保険加入状態となり受給要件を満たさなくなる可能性があるため注意が必要です。
在宅でできるデータ入力・事務作業
データ入力や簡単な事務作業は、特別なスキルがなくても始めやすく、作業時間を自分で調整できる副業です。クラウドソーシングサイトで単発案件を選べば、育児の状況に応じて仕事量をコントロールできます。
報酬は1件あたり数百円から数千円程度が中心ですが、作業に慣れると効率が上がり、隙間時間を活用しやすい点がメリットです。1件あたり30分から1時間程度で完結する案件が多く、子どもの昼寝中や就寝後のまとまった時間を使って取り組めます。
ただし、単価が低い案件も多いため、作業時間と報酬額から時給に換算して、最低でも時給500円以上を目安に案件を選ぶことをおすすめします。
ハンドメイド作品の販売
手芸や工作が得意な場合、minneやCreemaなどのハンドメイドマーケットで作品を販売する方法があります。自分のペースで制作でき、育児の合間に少しずつ作業を進められるため、時間の制約が大きい育休中でも取り組みやすい副業です。
ベビー用品やアクセサリーなど、需要のあるジャンルを選ぶことで継続的な販売につながる可能性があります。1作品あたりの制作時間は内容によって異なりますが、注文を受けてから制作するスタイルにすれば在庫リスクを抑えられます。
材料費や発送の手間を考えると、趣味の延長として楽しみながら収入を得るスタンスが現実的です
メルカリ・不用品販売
不用品販売は、在庫を抱える必要がなく、すぐに始められる副業の一つです。育児用品は需要が高く、使わなくなったベビー服やおもちゃなどを出品することで、家の整理と収入の両立ができます。
メルカリやラクマなどのフリマアプリを使えば、スマートフォンだけで出品から発送まで完結するため、育児の合間に作業しやすい点が利点です。
出品作業は1点あたり10分程度、梱包・発送作業も15分程度で済むため、まとまった時間が取れない日でも対応できます。継続的な収入源というよりは、一時的な収入を得る手段として考えるとよいでしょう。
Webライティング・デザインなどスキル系
文章作成やデザインのスキルがある場合、Webライティングやバナー制作などの業務委託案件は比較的単価が高く、効率的に収入を得られます。クラウドワークスやランサーズなどのプラットフォームで案件を探せば、経験に応じて報酬単価を上げていくことも可能です。
文字単価1円以上のライティング案件や、1件5,000円以上のデザイン案件を目安に選ぶと、時間対効果が見合いやすくなります。
納期のある案件が多いため、育児の状況を見ながら受注量を調整し、無理のない範囲で継続することが重要です。スキルを活かせる副業は、育休後のキャリアにもつながる可能性があります。
ブログ・アフィリエイト
ブログやアフィリエイトは、初期投資が少なく、自分のペースで記事を作成できる副業です。育児経験を記事にすることで、同じ立場の読者に役立つコンテンツを提供しながら収益化を目指せます。
ただし、収益が発生するまでには通常3か月から半年以上の継続が必要であり、すぐに収入を得たい場合には向いていません。長期的な視点で取り組める場合に選択肢となります。
業務委託・単発案件
業務委託契約や単発のプロジェクト案件は、自分のスキルを活かして比較的高単価の仕事を受けられる選択肢です。企業のSNS運用代行、翻訳、コンサルティングなど、専門性が求められる分野では報酬も高めに設定されています。
ただし、納期や成果物の品質が求められるため、育児と両立できる時間配分をしっかり見極めたうえで契約する必要があります。
避けるべき副業(雇用契約・シール貼りの注意点)
- 雇用契約を結ぶ形態のアルバイト・パート
- 時給換算で200〜300円程度のシール貼り・内職
- 雇用保険の加入義務が発生する働き方
育休中に避けるべき副業は、雇用契約を結ぶ形態のアルバイトやパートです。雇用保険の被保険者でありながら別の会社と雇用契約を結ぶことは、育児休業給付金の受給要件に抵触します。
育児休業給付金は「休業前の事業所での雇用関係を維持していること」が前提となっており、新たな雇用関係を結ぶと受給資格を失う可能性があるため注意してください。
また、在宅でできるシール貼りや内職は、時給換算すると200円から300円程度になるケースが多く、育児の合間に取り組む副業としては効率が悪いといえます。
時間と労力に見合った収入が得られるかを冷静に判断し、契約形態が業務委託または自営業扱いになっていることを確認してから始めることが大切です。
副業の種類と選び方が分かったところで、次に気になるのは「副業収入があった場合、確定申告はどうすればよいのか」という疑問です。次のセクションでは、確定申告の基準や手続きの流れについて解説します。
副業を始める前に確認すべき5つのチェックリスト
育休中に副業を始める際は、事前の確認を怠ると後から問題が発覚するリスクがあります。
ここでは実際に副業をスタートする前に必ず押さえておくべき5つの確認項目を、優先度の高い順に整理します。これらを事前にクリアしておくことで、安心して副業に取り組むことができます。
- 会社の就業規則と副業規定の確認方法
- 雇用形態による育児休業給付金への影響
- 育児との両立可能性を判断するポイント
- 確定申告が必要になる所得ライン
- 開業届の提出判断とタイミング
会社の就業規則の副業規定を確認
最優先で確認すべきは、所属する会社の就業規則における副業の扱いです。
育休中であっても雇用関係は継続しているため、就業規則の適用対象となります。副業が全面禁止されている場合や、事前申請が必要な場合があるため、人事部門に問い合わせるか、就業規則を直接確認しましょう。
人事部門に確認する際は、「育休中に在宅でできる業務委託の仕事を検討しているが、事前の申請や報告は必要か」といった具体的な聞き方をすると明確な回答を得やすくなります。
会社によっては通常の副業は許可制でも、育休中は別の基準を設けている場合があるため、育休中であることを明示して確認することが重要です。
雇用形態(業務委託か雇用契約か)の確認
副業として働く際の契約形態によって、育児休業給付金への影響や法的な扱いが変わります。
業務委託契約であれば給付金への影響は原則ありませんが、雇用契約を結んで働く場合は「就労」とみなされ、給付金の支給停止や減額の対象となります。
具体的には、雇用契約で1か月に10日を超えて就労した場合、またはその月の就労時間が80時間を超えた場合は、その月の給付金が支給されない可能性があります。
一方、業務委託やフリーランスとしての活動であれば、これらの時間制限の対象外となるのが一般的です。
副業を依頼する側から提示される契約書の形式を必ず確認し、不明な場合は契約前にハローワークに具体的な契約内容を示して相談することをおすすめします。
育児との両立可能性を現実的に判断
副業を始める前に、育児と両立できる時間と体力があるかを冷静に見極めることが重要です。
育休中は授乳や夜泣き対応で睡眠が不規則になりやすく、想定以上に時間が取れないケースが多くあります。
実際に育休中に副業をしている人の事例では、子どもの月齢や生活リズムによって確保できる時間に大きな差があり、安定して作業できるのは1日1〜2時間程度と考えておく方が現実的です。
副業の納期や作業量が育児に支障をきたさないか、パートナーや家族との役割分担ができているかを事前に話し合いましょう。
納期の柔軟性がある仕事や、スキマ時間で進められる作業を選ぶことが継続のポイントとなります。
育児と副業の両立は想像以上に大変です。無理のない範囲でスタートすることが長く続けるコツです。
確定申告が必要になるラインの把握
副業で得た所得が一定額を超えると、自分で確定申告を行う必要があります。
給与所得以外の所得が年間20万円を超える場合、または給与所得がなく副業所得が年間48万円を超える場合は、原則として確定申告が必要です。
確定申告を怠ると無申告加算税などの税務上のペナルティが発生しますが、育休手当そのものの返還義務が生じるわけではありません。
ただし、副業収入が増えると翌年の住民税額が変わるため、住民税を会社の給料から天引きする特別徴収にしていると、経理担当者が住民税の増加に気づき、副業の存在を知られる可能性があります。
これを避けたい場合は、確定申告の際に住民税の納付方法を「自分で納付(普通徴収)」に選択することで、副業分の住民税を自宅に送付してもらうことができます。
所得の種類によって経費計上できる範囲も異なるため、不安な場合は税務署や税理士に相談することも検討できます。
開業届の必要性と提出タイミング
副業を継続的に行う場合、税務署に開業届を提出するかどうかを判断する必要があります。
開業届の提出は法的な義務ではありませんが、提出することで青色申告の適用が受けられ、最大65万円の特別控除などの税制優遇を利用できるメリットがあります。
ただし開業届を出すと配偶者の扶養判定や社会保険の扶養要件に影響が出る場合があるため、配偶者の勤務先の扶養基準を事前に確認しておくことが重要です。
また、育休終了後に失業保険の受給を検討している場合、開業届の提出状況が受給要件に関わる可能性もあるため、自分の状況に応じて提出の要否を検討しましょう。
提出する場合は事業開始から1か月以内が原則とされていますが、期限を過ぎても罰則はありません。
これらの確認項目をクリアしたら、次は具体的にどのような副業を選ぶかが重要になります。次のセクションでは、育休中でも取り組みやすい副業の種類と選び方について解説します。
確定申告は必要?育休中の副業と税金の関係
育休中に副業で収入を得た場合、税金の申告義務が発生するかどうかは所得額によって判断されます。
確定申告が必要になる基準、住民税の申告ルール、実際の手続き方法を正確に理解しておくことで、後になって慌てることを防げます。
このセクションでは、育休中の副業に関わる税務上の義務と、実務的な対応方法を整理します。
年間所得20万円超で確定申告が必要
会社員として年末調整を受けている場合、副業による所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。
この「所得」は収入から経費を差し引いた金額を指すため、例えば副業で30万円の収入を得ても、経費が15万円あれば所得は15万円となり、確定申告は不要です。
ただし育休中であっても在籍している会社から年末調整を受けている限り、この基準が適用されます。
なお育休中に受給する育児休業給付金は非課税のため、確定申告や年末調整の対象にはなりません。
副業の所得を計算する際も、育児休業給付金の受給額とは別に判断します。
住民税は金額に関わらず申告が必要
所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税については別途申告義務が発生します。
副業の所得が少額であっても、原則として市区町村への申告が必要になるため注意が必要です。
確定申告を行った場合は、その情報が自動的に市区町村に連携されるため、住民税の申告は不要になります。
一方で所得が20万円以下で確定申告を行わない場合は、お住まいの市区町村に対して住民税の申告を別途行う必要があります。
申告方法や期限は自治体によって異なるため、市区町村の税務担当窓口またはウェブサイトで確認することが推奨されます。
なお副業の住民税について、会社に知られたくない場合は対応策があります。
確定申告書の第二表にある「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法」の欄で「自分で納付」を選択することで、副業分の住民税を自宅に送付される納付書で支払うことができます。
自治体によって対応が異なる場合があるため、事前に市区町村の税務課に確認しておくと安心です
確定申告の方法と時期
確定申告は原則として翌年の2月16日から3月15日までの期間に行います。
申告方法には、税務署の窓口に直接提出する方法、郵送による提出、国税庁のe-Taxシステムを利用したオンライン申告の3つがあります。
初めて確定申告を行う場合は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すると便利です。
画面の案内に従って必要事項を入力するだけで申告書を作成できます。
副業の種類に応じて事業所得、雑所得、給与所得などの区分を選択し、収入金額と経費を入力していきます。
マイナンバーカードとスマートフォンがあれば、自宅からe-Taxで完結できるため、育児中でも時間を選ばずに手続きが可能です。
- ハンドメイド作品の販売:雑所得
- ライティング業務:雑所得
- アンケートモニター・ポイントサイト:雑所得
継続的かつ事業規模で行っている場合は「事業所得」となることもありますが、育休中の限られた時間で行う副業の多くは雑所得に該当します。
経費として計上できるもの
副業の所得を計算する際、収入を得るために直接必要だった支出は経費として差し引くことができます。
在宅でのライティングやデザイン業務であれば、パソコンやソフトウェアの購入費、インターネット通信費の一部、仕事専用の書籍代などが該当します。
ただし育休中の自宅での作業では、プライベートと仕事の区別が曖昧になりやすいため注意が必要です。
家事関連費は使用実態に応じて按分する必要があります。
例えば通信費であれば、業務に使用した時間の割合(1日のうち2時間使用なら約10%前後)や、使用した日数の割合に応じて経費化します。
領収書やレシートは必ず保管し、何のために支出したかを記録しておくことで、税務調査があった場合にも説明できる状態にしておくことが重要です。
税金の手続きは複雑に感じるかもしれませんが、基本的なルールを押さえておけば、育児の合間に少しずつ準備を進めることで対応できます。
次のセクションでは、育休中の副業に関してよくある疑問とその回答をまとめて紹介します。
育休中に副業を始めた人の実体験と注意点
育休中の副業は制度上可能であっても、実際に始めてみると想定外の課題に直面することがあります。
ここでは、実際に育休中に副業を経験した人の成功例と失敗例を紹介し、育児と両立するための現実的な時間管理のポイントを整理します。
他の人の経験を参考にすることで、自分に合った副業の選び方や無理のない働き方のイメージを持つことができます。
成功事例:無理なく月3万円稼げた副業パターン
育休中に副業で安定した収入を得ている人に共通するのは、育児の合間に細切れの時間でできる仕事を選んでいる点です。
具体的には、在宅でのデータ入力やWebライティング、ハンドメイド作品のオンライン販売など、自分のペースで作業量を調整できる副業が中心となっています。
これらの副業が育児と両立しやすい理由は、納期を自分で選べる案件が多いこと、作業を中断・再開しやすいこと、そして育児の状況に応じて受注量を柔軟に増減できることにあります。
月3万円前後の収入を得ている人の多くは、1日1〜2時間程度の作業時間を確保し、子どもの昼寝時間や夜間の就寝後にまとめて作業する工夫をしています。
成功している人が重視しているのは、収入額よりも継続性と柔軟性です。
納期が厳しい案件や、決まった時間に対応が必要な仕事は避け、自分の生活リズムに合わせて進められる案件を選ぶことで、育児との両立を実現しています。
また、副業を始める前に会社の就業規則を確認し、必要に応じて申請や報告を済ませておくことで、トラブルを未然に防いでいます。
会社への申請に不安を感じても、育休中の副業は法律上禁止されていないため、正直に相談すれば理解を得られるケースが多いですよ
失敗事例:想定外だったトラブルと対処法
育休中の副業で失敗したケースとして多いのは、育休給付金と副業収入の関係を正確に理解していなかったことや、確定申告の準備を怠ったことです。
育休中に受け取る育児休業給付金は、副業収入があっても基本的に減額されることはありません。
ただし、副業が雇用保険に加入する働き方(週20時間以上の雇用など)になると、育休の扱いが変わる可能性があります。
副業収入が年間20万円を超えた場合は確定申告が必要になりますが、この20万円は経費を差し引いた所得を指すため、収入全体ではなく利益ベースで判断します。
確定申告をせず、後日税務署から指摘を受けた事例も報告されています。
また、副業に時間を取られすぎて育児や体調管理に支障をきたしたという声も少なくありません。
特に子どもが体調を崩しやすい時期に納期のある仕事を抱えてしまい、精神的に追い詰められたケースでは、一時的に副業を休止せざるを得なくなっています。
- 事前に制度の確認を徹底すること
- 収入の記録と税務処理を習慣化すること
- 無理のない作業量とスケジュールを設定すること
育児と両立するための時間管理のコツ
育休中に副業を続けるには、育児を最優先にしながら柔軟に時間を確保する工夫が必要です。
成功している人の多くは、1週間単位で作業計画を立て、子どもの生活リズムに合わせて作業時間を細かく分散させています。
たとえば、平日の昼寝時間に30分、夜の就寝後に1時間というように、固定した時間枠ではなく流動的なスケジュールを組むことで、予定外の育児対応にも柔軟に対処できます。
時間管理で重視すべきは、完璧を求めないことです。
育児中は予測不可能な出来事が多いため、計画通りに進まないことを前提に、余裕を持った納期設定や作業量の調整を心がけることが長続きの秘訣となります。
また、パートナーや家族と副業の状況を共有し、協力を得られる体制を整えておくことで、精神的な負担を軽減することができます。
ここまで制度・手続き・具体的な副業の選び方、そして実体験まで確認してきました。
育休中の副業は、ルールを理解し自分の状況に合った働き方を選べば、収入面でも精神面でも有意義な選択肢となります。
一方で、育児に専念したい時期や体調に不安がある場合は、無理に副業を始める必要はありません。
まずは会社の就業規則の副業・兼業に関する項目を確認し、不明な点があれば人事担当者に育休中の副業について相談するところから始めてみてください。
育休中の副業に関するよくある質問
育休中の副業については、収入の上限や会社への報告、確定申告の要否など、判断に迷うポイントが多くあります。
ここでは育休給付金との兼ね合いや、副業がバレた場合のリスクなど、実務上よく寄せられる疑問に答えていきます。
制度を正しく理解したうえで、安心して行動できるよう参考にしてください。
育休中に副業していくらまでなら大丈夫?
育児休業給付金を受給しながら副業をする場合、月10日以下かつ月80時間以下の就労であれば給付金への影響を避けられる可能性があります。
また、副業先で雇用保険に加入しない範囲に収めることも重要です。
ただし、副業自体が就業規則で禁止されているケースもあるため、事前に勤務先の規定を確認する必要があります。
育休取りながら副業はできますか?
育児休業中の副業は、法律上は禁止されていません。
ただし勤務先の就業規則で副業が制限されているケースがあるため、事前に確認が必要です。
特に公務員の場合は、国家公務員法・地方公務員法により原則として副業は認められていません。
一部自治体では条件付きで例外が認められるケースもありますが、事前申請と許可が求められます。
民間企業でも就業規則の内容によって対応が異なるため、必ず人事部門へ確認してから始めることをおすすめします。
育休中に副業がバレたらどうなる?
会社の就業規則で副業が禁止されている場合、発覚すると懲戒処分の対象となる可能性があります。
また、副業先で雇用保険に加入するような働き方をしていた場合は、育児休業給付金の受給要件を満たさなくなり、給付金の返還を求められるリスクがあります。
いずれの場合も、事前に勤務先の規定と給付金の要件を確認しておくことが重要です。
育休中に開業届を出すと会社にバレますか?
開業届を税務署に提出しても、その情報が勤務先に直接通知される仕組みはありません。
ただし、住民税の徴収方法や確定申告の手続きで間接的に発覚する可能性があります。
副業で一定以上の所得が生じた場合、確定申告の際に住民税の納付方法を「普通徴収」に選択することで、会社経由での徴収を避けられます。
事前に就業規則を確認し、必要に応じて専門家や自治体の税務窓口に相談することをおすすめします。
育児休暇中にダブルワークはできますか?
育児休業中に雇用契約でのダブルワークを行うと、雇用保険の給付金に影響が出る可能性が高いため原則として認められません。
一方、業務委託など雇用契約ではない形態であれば、制度上は対応できるケースもあります。
ただし、会社の就業規則や育児休業規定で副業が制限されている場合もあるため、事前に勤務先への確認が必要です。
育休中に副業をしても確定申告をしなくてもいいですか?
副業による所得が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要とされています。
ただし、住民税については金額に関わらず市区町村への申告が必要になります。
また、医療費控除やふるさと納税などの控除を受ける場合は、20万円以下でも確定申告が必要です。

