28.生命保険料が払えなくなった時の賢い選択
会社の経営状況次第では、保険料を払い続けるのが厳しい状況も起こりえます。
このような場合の選択肢としてはどんな方法があるか、考えてみましょう。
ずっと続けるつもりで加入した保険でも、安定成長、低成長下では、保険の寿命もおのずと短くなってしまっているものと思われます。そんな中、今後保険を解約するか、減額するか、厳しい選択を迫られるケースも出てきます
このような場合取り得る手段としてはいくつかあるものの、保険としての加入目的によって存続させるのか、解約してしまうのかが決まってきます。例えば、役員全員加入している保険であれば、最もリスクの高い経営トップの保険はそのままにしておいて、他の役員の保険を「解約」「減額」するという選択が最も理に叶うことになりましょう。それどころではなく、すぐにでも出血を止めないと、会社が成り立たないという場合、これは緊急事態ですから、むしろ保険の解約益や資金が会社を助けることになりましょう。
通常の状況で、保険料をストップするには、「解約」または「払済み」の方法しかありません。ただその場合、解約して保険会社から返戻金が会社に入った場合、解約益が出ることがプラスの場合と、そうでない場合が出てきます。(払済みの場合でも、保険種類によっては益出しが必要となります)これを避ける方法として、つぎの方法が考えられます。
(1) 契約者貸付けを受け、保険料に充当する(保険会社によっては自動的に保険料に解約返戻金を充当してくれるサービスがあります)
これを使うと、解約返戻率が高くなるまで、ずっと保険料を保険会社から借り入れて払いつづけることが可能です。最終的に、解約返戻金からその間の利息を払って精算することになりますが、当然返戻率が高まっていますので、むしろ有利に解約返戻金を受取ることが可能になる場合も多いようです。なお、契約者借入の借入利息は保険加入時の予定利率プラスアルファーという利率設定になります。
(2) 保険金額の一部を解約(=減額)し、他のより有利なものに置き換える
これらの方法で、保険を維持することが可能になります。
特に(2)の場合、旧来のパフォーマンスの悪い保険から、新開発のずっと返戻率が良く保障内容も良い保険へシフトすることが可能です。その際の保険料負担がなくなり、会社としては苦しい台所事情をしばし休ませてくれるものになります。といって、決して保険効果が無くなったわけではありませんので、万一の時の備えは出来たままです。
このように、保険というのは加入して何にも手を打たずに、最後までそのとおりに推移するというより、時と場合により形を変えたり、しばし中断したりと、お客様の状況でいかようにも姿を変えられる機能があるのです。要は、そんなイレギュラーな時に、どう形を変えられるか、最初のプランの段階で柔軟なものにしておくことが、何にもまして重要なことかと思います。また、柔軟な形に変えられない場合でも、保険本来の様々な機能を駆使して、新しいものに置き換えていく知恵も出す必要があります。保険料が払えないので解約しかない、と思い込んではいけません。状況によっていろいろな選択肢がありますので、どの選択が自社にとってメリットが多いか、やはりシミュレーションは欠かせません。