34.生命保険加入時の保険代理店の選び方
法人において財務リスクを回避するためには、生命保険の活用なしでは、その実 現は難しいということが、保険の機能を知れば知るほど、素直に理解できるのではないかと思います。
ハッカー被害や地震といった、自らではコントロールしにくいリスクが、会社を取り巻いております。もちろん、それらを全部損害保険でカバーできるわけでもありませんし、また資金効率面でもすべきではありません。しかし、もしも会社にとって致命的と思えるような、重大なことがらが発生した場合に、保険がかかっていないとしても、全く思いもやらない所からリカバリーショットの為の資金や収益が取り出せたらどんなにいいだろうと、誰しもが考えます。
それこそが、まさしく法人生命保険の「ダムの水」効果です。きちんとそのリスクを評価して、最適でかつ最も資金効果の高い生命保険を手当てしていますと、いつでも必要とする時に、全く色のついていない(どのようにも使うことのできる)資金と利益を会社に取り込むことができるのです。
生保険の正しい対応の仕方を整理します。
(1) 既に加入している場合でも、見直しをすることで、今後の機会損失を防げることを認識する
(2) 保険の加入目的(どの保険を、いつ何のために使うのか)をはっきりさせる
(3) 競争原理を導入する → できるだけ多くの保険会社の商品からいいとこ取りをする
(4) 中長期の経営計画と保険プランをマッチさせられるような財務戦略を立てる
(5) 保険の税制上の恩典を最大限活用し、ダム経営に徹する
といったことが、必要になります。
そのために、実践すべきは、最も大事なコンプライアンスをきちんと遵守した上で、様々な商品の特性、組合せの最大メリット、最高のテクニカルな処方箋を作り上げることに尽きます。その結果、生命保険が単なる「死んでナンボ」の博打的な商品から、「生きてナンボ」の戦略的な商品に様変わりします。情報をしっかり入手され、その選択が会社の未来戦略に効果ありと判断できるものであれば、「即実行」あとは実行するのみです。
法人の財務リスクは実にまちまちです。売上利益を計画通り確保できないということで、収支バランスが崩れキャッシュフローに影響が出ます。そのため負債が増え、借入金の返済や金利負担がのしかかり、経営の悪循環が始まります。そんなことは百も承知で、懸命に経営努力を重ねてはいても、景気変動や世界経済の嵐の中で、自社の努力だけではコントロール不能ということも起こりえます。そのようなときに会社を救うのが、「ダムの水」(含み資産)であることは言を待たないでしょう。
法人契約の生命保険はまさにダムの水としての、大きな役割を果すわけですが、これはある意味税務署からの恩典といってもいいのではないかと思います。多くの従業員を雇用して所得税住民税を払い、法人としても法人税を一生懸命払ってくれるご褒美に、法人の生命保険を上手く活用しなさいと、税務署が保険料の税金は後払いでいいよ、と特典をつけてくれています。ここは素直になりましょう。お国に感謝しましょう。自分の会社を守る為、智恵を使って保険戦略を構築していきましょう。お国も言っています。これからは「自己責任(オウンリスク)」「競争原理」の時代であると。
この競争原理の導入こそが、まさしく鍵になります。
できるだけ多くの保険会社の商品から、自社の対策に最も適した商品をどうやって取捨選択していくのか。理屈は簡単なようで、実際にプラン化する、商品化戦略を立てるのは至難の業です。
そこで、考えられるのは、プロフェッショナルパートナーとの連携です。乗合代理店という、保険のデパートのようなコンサルに依頼することが、結局は最も早く、また最適の保険戦略構築に不可欠です。昔から「餅は餅屋」という言葉があるように、保険の世界もプロの出番です。
そして、単に商品を熟知しているというだけではなく、法人の生命保険の構築には、民法、商法、税法、経営といった見地からの中長期経営計画の立案がこれまた不可欠な要素です。そのようなことにたけた代理店を選ぶのが、成功の第一歩です。自社の考え方をぶつけ、それによって、さまざまな選択肢から明確な理屈を以って保険の商品化戦略を立案できる技量と経験が求められます。
代理店の選定に当たっては、このような視点からの選別が是非必要です。いわゆるGNP(義理、人情、プレゼント)の世界はここでは通用しません。
経営者自身も、保険戦略を通じて、将来のリスク回避に積極的に関与することも大事なことです。そのような真摯な経営者にこそ、それにふさわしい代理店がつくのではないかという気もいたします。