
2024年から新NISA制度が始まるけど、現行のNISA制度と何が変わるの?

改悪したって本当?
この記事では、2024年から始まる新NISA制度の内容や変更点、ポイントを解説します。
新NISA制度とは?
2024年1月から始まる新NISA制度は、現行のNISA制度(つみたてNISA、一般NISA、ジュニアNISA)からつみたてNISAと一般NISAの内容をベースに大幅にリニューアルされます。
・制度の簡素化
・制度の恒久化
・非課税投資枠の大幅な拡大
新NISA制度の開始に伴い、現行のNISA制度は以下のように変更・廃止されます。
つみたてNISA
つみたてNISAでは投資可能期間が令和19年(2039年)までから令和24年(2042年)まで延長になります。
制度の内容は、現行の制度内容との変更点はありません。
また現行の一般NISAと同様に、新NISA制度との併用はできません。
一般NISA
現行の一般NISAはすぐには廃止にならず、非課税期間が5年延長の令和10年(2028年)までとなります。
ただし投資可能期間は2023年のままのため、2023年に一般NISAで購入する商品は、非課税期間終了後のロールオーバーが不可能です。
また新NISAとの併用も不可能となるため、非課税期間終了後は課税口座に払い出されます。
ロールオーバーとは非課税期間を延長する仕組みのことです。
一般NISAはで5年間の非課税期間を満了後、NISA非課税投資枠で保有している金融商品を翌年のNISA非課税投資枠へ移行することで、さらに5年間非課税で運用できます。
例:2018年から運用開始した場合、2022年にNISA非課税投資枠へ再度移行することで最大で2018年~2027年の10年間非課税で運用できる。
ジュニアNISA
ジュニアNISAは延長はせず、2023年末で終了となります。
ただし2024年以降は、非課税期間の5年が満了後もロールオーバーの手続きなしで、18歳になるまで引き続き非課税で保有できるようになります。
新NISA制度と現行NISA制度の比較
「令和5年度税制改正の大網等」をもとに、新NISA制度と現行NISA制度を比較すると以下のようになります。
つみたてNISA | 一般NISA | つみたて投資枠 (1階部分) | 成長投資枠 (2階部分) | |
年間投資枠 | 40万円 | 120万円 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有期間 | 最長20年間 | 最長5年(ロールオーバー可能) | 無期限化 | 無期限化 |
非課税保有限度額(総額) | 800万円 | 600万円 | 1階部分と2階部分あわせて1,800万円(枠の再利用可能) | 1200万円 |
口座開設期間 | ~2042年 | ~2023年 | 恒久化 | 恒久化 |
投資対象商品 | つみたて・分散投資に適した一定の投資信託 | 株式・投資信託等 | つみたて・分散投資に適した一定の投資信託 (現行つみたてNISA対象商品と同様) | 上場株式・投資信託等 |
対象年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 | 18歳以上 | 18歳以上 |
現行NISA制度との関係 | – | – | つみたてNISAに当たる部分 | 一般NISAに当たる部分 |
現行のNISA制度から大きく変更した点は、投資枠の拡大と非課税期間の無期限化、口座開設機関の恒久化です。
また非課税保有限度額の枠の再利用が可能になったことも大きな変更点です。
それぞれの変更点について、次の項目で詳しく解説します。
新NISA制度の4つのポイント
新NISA制度の大きな変更点である以下の4つのポイントについて、詳しく解説します。
①つみたてNISAと一般NISAの制度内容の併用が可能
②NISA制度の恒久化
③年間投資上限額の拡大
④生涯非課税限度額の新設
つみたてNISAと一般NISAの制度内容の併用が可能に
現行のNISA制度では、つみたてNISAと一般NISAの併用はできません。
しかし新NISA制度は、1階部分につみたてNISAに代わる「つみたて投資枠」、2階部分に一般NISAに代わる「成長投資枠」の2階建て構造となります。
それに伴い、1階部分の「つみたて投資枠」の利用額が上限額に達していなくても2階部分の「成長投資枠」の利用ができることから、2つの制度の併用が可能となります。
NISA制度の恒久化
現行のNISA制度の非課税保有期間は、つみたてNISAで最長20年、一般NISAで最長5年と期間に制限がありました。
また口座開設可能期間も延長はされたものの、現行NISA制度には制限があります。
しかし新NISA制度では非課税保有期間と口座開設可能期間の制限がなくなり、恒久的な制度となります。
これによりロールオーバーなどの手続きが不要になるため、これまでよりも運用が楽に行えます。
年間投資上限額の拡大
現行のNISA制度の投資上限額は、つみたてNISAで年間40万円、一般NISAで年間120万円です。
これに対し新NISA制度では、1階部分の「つみたて投資枠」はつみたてNISAの3倍である年間120万円、2階部分の「成長投資枠」は一般NISAの2倍である年間240万円の投資が可能になります。
また「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能であることから、年間投資上限額は最大で360万円まで広がります。
生涯非課税限度額の新設
現行のNISA制度の非課税限度額は、つみたてNISAで800万円(年間40万円×20年)、一般NISAで600万円(年間120万円×5年)とそれぞれ別で定められています。
これに対し新NISA制度では、1人あたり1,800万円の生涯利用可能な非課税限度額が設定されます。
さらに余った非課税限度額を翌年に持ち越しできない現行のNISA制度と異なり、1,800万円の限度額までであれば一度利用した非課税投資枠を何度でも利用が可能です。
そのためライフイベントになどの支出により換金した後も、空いた非課税枠の再利用により、これまでよりもさらに柔軟な資産運用ができます。
新NISA制度のデメリットは?
新NISA制度は現行のNISA制度よりも制限が少なく非課税投資枠も拡大されたことから、自由度の高さなどのメリットが多く存在します。
一方で、以下のデメリットも存在します。
・現行のNISA制度のロールオーバーが不可能
・損益通算や繰越控除の対象外
現行NISAのロールオーバーが不可能
これまでつみたてNISAや一般NISAを利用してきた場合、商品を新NISAへロールオーバーできません。
新NISA制度との併用も不可能であることから、現行のNISA制度を利用し続けるか、新NISAを新たに利用し始めるかを考える必要があります。
ただし2024年の制度開始までに変更となる可能性があることや、新NISA制度は恒久的な制度であることから、急いで決めず自分の人生設計と相談して考えましょう。
損益通算や繰越控除の対象外
新NISA制度は、現行のNISA制度と同様に損益通算や繰越控除の適用外です。
通常は損失が発生した場合、別の利益と損益通算することで別の口座などで発生した利益の課税額を減らせますが、NISAで発生した損失ではできません。
その年に発生した利益と損失を相殺すること。
また繰越控除も適用できないことから、本来であれば翌年以降に繰り越せる損失分も繰り越せず、翌年以降の利益にかかる課税額の減額もできません。
本年度分に発生した損失を利益から控除しきれない場合に、残った損失を翌年以降に繰り越して翌年以降の利益から控除すること。
まとめ
新NISA制度は、現行のNISA制度よりも自由度が高く一生涯利用できる制度です。
一方で現行のNISA制度と併用できないことや損益通算と繰越控除ができないなどのデメリットもあります。
新NISあ制度がどのような制度であるかを理解し、ライフプランに合った活用をしていきましょう。