
NISAとiDeCoってどんな制度?
どちらから始めた方がいいの?
この記事ではNISAとiDeCoの制度内容や違い、メリットやデメリットから、それぞれの制度におすすめの人を紹介します。
NISAとiDeCoは何が違う?
資産形成の手段としてNISAやiDeCoがありますが、主に5つの違いがあります。
・制度の目的
・運用商品
・運用期間や金額
・お金を引き出せるタイミング
・税制優遇
またNISAには、運用期間などが異なる「一般NISA」と「つみたてNISA」があります。
これらの制度にも違いがあるため、この記事では一般NISA・つみたてNISA・iDeCoの3つの制度の違いについて紹介します。
現行のNISA制度は2023年末で終了し、2024年から新NISA制度がスタートします。
新NISA制度は、現行の一般NISA(1階部分)とつみたてNISA(2階部分)の2階構造となった制度であるため、この記事では現行NISA制度のみを比較します。
新NISA制度についての詳細は「2024年スタート!新NISA制度のポイントをわかりやすく解説」で紹介しています。
目的や運用商品の違い
NISAとiDeCoの目的や仕組みは、以下の違いがあります。
一般NISA | つみたてNISA | iDeCo | |
制度の目的 | 個人投資家のための税制優遇制度 | 少額からの長期・つみたて・分散投資を支援するための非課税制度 | 老後資金の資産形成のための制度 |
加入条件 | 満18歳以上の国内居住者 | 満18歳以上の国内居住者 | 20歳以上65歳未満の公的年金被保険者 |
運用商品 | 上場株式・ETF・公募株式投信・REIT等 | 長期・つみたて・分散投資に適した一定の投資信託 | 運用管理機関が選定・提示する運用商品(投資信託、保険商品、預貯金等) |
NISAは少額から行う投資を目的とした制度である一方、iDeCoは老後資金の形成を目的とした制度であるという違いがあります。
また、加入できる年齢の上限が決められているのはiDeCoです。
一方で運用商品はNISAとiDeCoいずれも、投資信託で資産運用ができる点で共通しています。
運用期間や金額の違い
NISAとiDeCoの運用期間や金額は、以下の違いがあります。
一般NISA | つみたてNISA | iDeCo | |
運用期間 | 5年間 | 20年間 | 最大40年間 (20歳~60歳) |
運用金額 | 月100円~ | 月100円~ | 月5,000円~ |
年間限度額 | 120万円 | 40万円 | 14.4万円~81.6万円 |
累計限度額 | 600万円 | 800万円 | 約576万円~約3,200万円 |
運用期間については、iDeCoが最も長くなっています。
ただし新NISA制度では非課税保有期間が無期限になったことから、2024年以降は新NISA制度の運用期間が最も長くなります。
限度額については、2024年以降もiDeCoが最も多いです。
お金を引き出せるタイミング違い
一般NISA | つみたてNISA | iDeCo |
いつでも | いつでも | 原則60歳以降 |
NISAでは投資による資産運用を目的としていることから、払い出しのタイミングに制限はありません。
一方でiDeCoは老後資金の形成を目的としていることから、60歳以降でないと原則払い出しができません。
税制優遇の違い
一般NISA | つみたてNISA | iDeCo |
・運用益が非課税 | ・運用益が非課税 | ・拠出した掛金が全額所得控除 ・運用益が非課税 ・年金として受給で公的年金等控除、一時金として受給で退職所得控除 |
税制面では、iDeCoが最も優れています。
拠出時から受給時まで、節税の効果を受けられます。
NISAとiDeCoのメリット・デメリット
NISA(一般NISA・ つみたてNISA) | iDeCo | |
メリット | ・少額から運用可能 ・いつでも払い出しが可能 ・18歳以上であればいつでも始められる ・運用益が非課税 | ・拠出から受給まで税制優遇が受けられる ・転職時に他の年金制度に持ち運び可能 |
デメリット | ・運用期間に制限がある ・非課税投資枠の持ち越しができない ・売却した投資枠の再利用ができない ・元本割れのリスクがある | ・職業により掛金額に上限が決まっている ・原則60歳まで引き出しができない ・手数料がかかる ・元本割れのリスクがある |
NISAはiDeCoと比較して、払い出しのタイミングや運用金額などの自由度が高いため、幅広い世代で柔軟に利用が可能です。
一方で税制面ではiDeCoの方が節税効果が高く、運用益が非課税になるだけでなく、老後の資金を運用しながら毎月の拠出金全額分の節税も受けられるメリットがあります。
ただし、どちらの制度も投資による資産形成であるため、元本割れのリスクがあります。
NISAとiDeCoはどっちを選ぶべき?
NISAとiDeCoの特徴やメリット・デメリットから、それぞれの制度の活用方法を紹介します。
老後の資金形成ならiDeCo
・安定した収入がある人
・節税したい人
・自営業やフリーランス
iDeCoはNISAと比較して毎月の掛金の最低額が高く、拠出金は原則60歳まで引き出せないことから、安定した収入があり資産に余裕がある人が向いているでしょう。
そのため、これからのライフイベントで支出が増える可能性の高い20代より、老後資金について考え始める30~50代以降の人に向いています。
また税制面で優遇が多いことから、住民税や所得税を節税したい人にもおすすめです。
さらに、厚生年金に加入していない自営業やフリーランスは、厚生年金に加入している会社員や公務員等と比べて老後の年金額が少なくなります。
自営業やフリーランスの老後資金の資産形成のためにも、iDeCoを積極的に活用するのが良いでしょう。
ライフイベントに合わせた資産形成ならNISA
・少額から資産形成をしたい人
・投資初心者
・好きなタイミングで払い出ししたい人
NISAは少額からの運用が可能であることから、将来に向けて少額から資産形成したい人や投資に不安のある投資初心者におすすめです。
特に20代前後の若い世代は、30代以降と比較して年収が低いことも多く、資産形成に回せるお金が十分でないことも少なくありません。
そのような世代でも、無理の無い範囲で資産形成を始められるNISAは活用しやすいでしょう。
また20代~30代は結婚や出産、住宅購入などまとまったお金が必要となるライフイベントが多い年代です。
NISAはお金の払い出しのタイミングが自由であることから、それらのライフイベントに向けた資産運用の手段として活用するのもおすすめです。
NISAとiDeCoの併用もおすすめ!
NISAとiDeCoは併用することも可能です。
どちらも運用益が非課税であること、それぞれ目的の違う制度であることから、ライフスタイルの変化に合わせて併用するのも良いでしょう。
まとめ
NISAは投資による資産形成、iDeCoは老後資金の資産形成が目的の制度です。
それぞれ運用期間や運用上限金額、税制面の優遇に違いがあります。
それぞれの制度のメリットやデメリット、資産運用のリスクについて理解しライフプランに合った資産形成を行いましょう。