VTIとは?年率リターンの推移や購入方法を紹介

VTIってなんだろう?
これから投資しても大丈夫?

VTIとはバンガード社が提供する上場投資信託ですが、具体的にどのようなものかよくわからない人も多いでしょう。

この記事ではVTIの基礎知識から価格の推移、メリットやデメリットを詳しく紹介します。

VTIについて

VTIとは、世界でも最大級の資産運用会社である「バンガード社(Vanguard Group, Inc)」が管理・運用しているETF(上場投資信託)です。

ETF(Exchange Traded Fund)とは

証券取引所に上場し、東証株価指数や日経平均株価、海外の株価指数など指標への連動を目指す投資信託
複数の銘柄から構成されているため分散投資が可能。
取引方法は株式と同じ。

VTIの場合、「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」に連動するように運用されています。

CRSP USトータル・マーケット・インデックスでは、大型株から小型株まで米国株式市場のほぼ100%のの銘柄を対象としており、米国株式市場への分散投資と同じ効果が期待できます。

また、通常ETFには配当金はありませんが、VTIは年4回(3,6,9,12月末)に分配金が支払われます。

VTIの構成銘柄とセクター比率

VTIは約4、000種類の銘柄で構成されていますが、上位10位の構成銘柄はこちらです。

銘柄比率
アップル5.14%
マイクロソフト4.68%
アマゾン・ドット・コム1.91%
アルファベット クラスA(グーグル)1.38%
バークシャー・ハサウェイ1.36%
ユナイテッド・ヘルス1.30%
ジョンソン&ジョンソン1.21%
アルファベット クラスC1.20%
エクソンモービル1.19%
参照:Vanguard(2022年12月31日時点)

GAFAMなど世界を代表とする有名企業が、構成銘柄の上位を占めていることがわかります。

GAFAMとは

Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftの頭文字をとった総称のこと。

CRSP USトータル・マーケット・インデックスは、時価総額加重平均型の株価指数であることから、時価総額が大きい銘柄ほど組み入れ比率は高くなります。

そのため上位10位の銘柄だけで全体の約2割を占めています。

一方で残りの8割の銘柄の中にも、将来的にGAFAMのような大企業に成長する可能性のある銘柄も含まれていることもあるため、それらの企業が成長することによりVTIの上昇することも大いに期待できます。

VTIのセクター(業種)比率はこちらです。

セクター比率
情報技術23.40%
ヘルスケア14.90%
一般消費材13.20%
資本財13.60%
金融11.90%
生活必需品6.00%
エネルギー5.40%
不動産3.40%
公共事業3.50%
通信2.40%
素材2.20%
参照:Vanguard(2022年12月31日時点)

情報通信、金融、不動産で半数以上を占めるアメリカの産業別GDP構成比とほぼ同じ比率であることがわかります。

構成銘柄とセクター比率から、VTIはアメリカの産業構造が反映されたバランスの良い構成となっています。

近年のVTIの価額推移

近年のVTIの価額推移はこちらです。

参照:Vanguard(2023年2月9日時点)

2023年までの10年間では、ほぼ右肩上がりで基準価額が上昇していることがわかります。

新型コロナウイルスの流行などにより短期的な下落は見られるものの、長期的には成長が期待できるETFであるといえます。

年率リターンの推移

期間別の平均年間収益(米ドルベース)はこちらです。

1年3年5年10年設定来
-8.42%9.40%9.03%12.23%7.82%
参照:Vanguard(2023年1月31日時点)

1年でみるとマイナスですが、3年~10年の中長期で保有することでしっかりリターンを得られていることがわかります。

次にVITの過去10年間の年率トータルリターンの推移はこちらです。

2022年2021年2020年2019年2018年2017年2016年2015年2014年2013年
-19.50%25.72%20.95%30.80%-5.13%21.16%12.68%0.40%12.56%33.51%
参照:Vanguard(2022年12月31日時点)

過去10年間でマイナスとなったのは2018年と2022年のみです。

特に2022年はロシア・ウクライナ情勢や米国の利上げなどの影響を大きく受けたために大幅なマイナスとなっています。

しかし全体的に見れば高い傾向は続いているため、今後も期待できるでしょう。

分配金の実績

直近の分配金実績はこちらです。

権利確定日1口あたりの分配金
2022年12月28日$0.930500
2022年9月28日$0.795500
2022年6月28日$0.749100
2022年3月28日$0.708200
2021年12月30日$0.859200
2021年9月29日$0.724200
参照:Vanguard(2022年12月31日時点)

分配金は$0.7~0.8で比較的安定していますが、配当利回りが低いまたは配当を出さない企業が構成銘柄の上位を占めていることやVTIの価格上昇により配当利回りは高くはありません。

VTIのメリット・デメリット

ここまで見てきたVTIの特徴から、メリットとデメリットを紹介します。

VTIのメリット

VTIのメリットは大きく3つあります。

VTIのメリット

・長期の保有で成長が見込める
・分散投資によるリスク低減効果が期待できる
・運用コストが安い

VTIは約4,000種類の銘柄を対象とするETFであることから、成長見込みのある企業の銘柄を含んでおり長期的に見れば成長を見込めます。

また小型株から大型株まで幅広くカバーしていることから、分散投資によるリスク低減効果も期待できます。

さらにVTIは運用コストである経費率が年率0.03%と低くなっています。

SBI証券の米国ETFの手数料が約定金額の0.45%であることを踏まえると、非常に低いことがわかります。

運用コストは高ければ高いほどリターンが減ってしまうため、投資を行う上で非常に重要な項目となります。

VTIのデメリット

VTIのデメリットは大きく2つあります。

VTIのデメリット

・1株が高く少額投資ができない
・為替手数料がかかる

2023年2月8日時点でVTIは1株200ドル程度あり、日本円にして2万円以上かかります。

米国株式は1株からの投資が可能ですが、最低2万円からとなるとハードルは高いでしょう。

少額投資をしたい場合は、100円から投資可能な投資信託から始めてみることをおすすめします。

またVTIの取引を行うためにはドルを保有している必要があります。

円からドルへの両替時にかかる手数料が為替手数料です。

為替手数料は利用する証券会社により異なるため、為替手数料を抑えたい人は利用する証券会社の選び方や買い方を工夫しましょう。

VTIの購入方法

VTIの購入方法は以下の2パターンあります。

VTIの購入方法

①現物取引:取引所で買い注文をし、現金とVTIを受け渡して決済
②CFD取引:取引開始時と終了時の差額のみの決済

現物取引では、現金を支払ってVTIを購入し、手放すときにVTIを売却して現金を受け取る取引です。

比較的わかりやすい取引であり、自分の資金の範囲内でのみの取引となるため資金がマイナスになることがありません。

CFD取引ではVTIを直接売買することはなく、売りと買いの選択のみで差額を決済するため売りから始めることも可能です。

そのため景気の上昇局面では買いから、下落局面では売りから始めるといった取引により利益を得ることも可能です。

さらに証拠金を預けることで、証拠金を元手にで大きな金額を取引できるレバレッジ取引を行うこともできます。

つみたてNISAでVTIに投資は可能?

つみたてNISAでVTIに直接投資することは不可能です。

ただし以下の投資信託を利用することで、つみたてNISAを利用して間接的にVTIへの投資ができます。

・楽天・全米株式インデックス・ファンド
・SBI・V・全米株式インデックス・ファンド

これらの投資対象はVTIであり、楽天証券やSBI証券を通じて日本円で購入しているだけであるため、実質VTIへの投資と同じ効果が期待できます。

またどちらもつみたてNISAの利用が可能であるため、100円からの少額投資が可能です。

楽天証券かSBI証券かの違いはわかるけど、
具体的に何が違うの?

2つの違いは信託報酬と純資産総額の違いです。

信託報酬(手数料)を抑えたい人は「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」、総資産総額が大きい(より資金が多く集まっている)方がいい人は「楽天・全米株式インデックス・ファンド」がおすすめです。

まとめ

VTIはバンガード社が管理・運用しているETFであり、米国株式市場のほぼ100%をカバーしています。

大型株から小型株までを対象としていることから、今後も成長が見込まれるETFです。

メリットやデメリットを踏まえ、自分のスタイルに合わせた投資を行いましょう。