VYMへの投資はやめた方がいい?配当利回りや買い方について

VYMってなんだろう?
これから投資しても大丈夫?

VYMとはバンガード社が提供する上場投資信託ですが、具体的にどのようなものかよくわからない人も多いでしょう。

この記事ではVYMの基礎知識や配当金、買い方について詳しく紹介します。

VYMについて

VYMとは、世界でも最大級の資産運用会社である「バンガード社(Vanguard Group, Inc)」が提供しているETF(上場投資信託)です。

ETF(Exchange Traded Fund)とは

証券取引所に上場し、東証株価指数や日経平均株価、海外の株価指数など指標への連動を目指す投資信託
複数の銘柄から構成されているため分散投資が可能。
取引方法は株式と同じ。

VYMの場合、「FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス」に連動するように運用されています。

FTSEハイディビデンド・イールド・インデックスは、米国株式市場の配当利回りが高い400銘柄以上の株式で構成されています。

そのため、VYMに投資することで複数の銘柄に分散投資するのと同様の効果が得られ、リスク分散ができます。

加えて、通常ETFには配当金はありませんが、VYMは年4回(3,6,9,12月末)に配当が出ます

VYMとVTIの違い

バンガード社が提供しているETFの中にVTIがありますが、VYMとの違いはこちらです。(2023年2月16日時点)

VYMVTI
構成銘柄数約400銘柄約4,000銘柄
ベンチマークFTSEハイディビデンド・イールド・インデックスCRSP USトータル・マーケット・インデックス
純資産総額509億ドル2,808億ドル
配当利回り2.88%1.53%
参照:Vanguard(2023年1月31日時点)

VYMはVTIと比較して構成銘柄数や純資産総額は少ないものの、配当利回りは約1.9倍と高くなっています。

VTIについては「VTIとは?年率リターンの推移や購入方法を紹介」で解説しています。

VYMの構成銘柄とセクター比率

VYMは400種類以上の銘柄で構成されていますが、上位10位の構成銘柄はこちらです。

銘柄比率
エクソンモービル社3.30%
ジョンソン&ジョンソン2.97%
JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー2.82%
シェブロン社2.33%
プロクター・アンド・ギャンブル社2.32%
ホームデポ株式会社2.31%
メルク社1.88%
アッヴィ株式会社1.80%
ファイザー社1.72%
参照:Vanguard(2023年1月31日時点)

VYMの上位10位を構成している銘柄は、安定した高配当な大型株が多くなっています。

一方でGAFAMなど世界を代表とする有名企業は成長株であり配当がないまたは低配当であるため、VYMにはほぼ組み入れられていません。

GAFAMとは

Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftの頭文字をとった総称のこと。

VYMのセクター(業種)比率はこちらです。

セクター比率
金融20.70%
ヘルスケア14.30%
生活必需品12.30%
エネルギー10.70%
資本財10.30%
一般消費材8.80%
公共事業7.60%
情報技術6.30%
通信4.90%
素材4.10%
参照:Vanguard(2023年1月31日時点)

GAFAMを含む成長企業の多い情報通信分野や景気に左右されやすい不動産分野の比率は、低いまたは含まれていないことがわかります。

一方で、安定した企業が多く景気に左右されにくい金融やヘルスケア、生活必需品、エネルギー分野が全体の6割近くを占めています。

構成銘柄とセクター比率から、VYMは安定した業種の高配当な株を中心に構成されているといえるでしょう。

近年のVYMの価額推移

近年のVYMの価額推移はこちらです。

参照:Vanguard(2023年2月20日時点)

VYMは成長株で構成されているわけではないものの、2023年までの10年間では、ほぼ右肩上がりで価格が上昇していることがわかります。

新型コロナウイルスの流行などにより短期的な下落は見られるものの、2013年から10年間で基準価額は2倍程度上昇しています。

そのため中長期的な保有による成長も期待できます。

年率リターンの推移

VYMの過去10年間の年率トータルリターンの推移はこちらです。

2022年2021年2020年2019年2018年2017年2016年2015年2014年2013年
-0.42%26.14%1.14%24.20%-5.87%16.42%16.87%0.33%13.47%30.26%
参照:Vanguard(2022年12月31日時点)

VYMは安定した株が多く組み入れられているため、景気に左右されて大きくマイナスになることが少ないことがわかります。

特に2022年はロシア・ウクライナ情勢や米国の利上げなどの影響がありましたが、大幅なマイナスは免れています。

分配金と配当利回りの実績

VYMの分配金は年4回あることから、1年分の総額を算出して過去5年間の分配金実績をまとめました。

1口あたりの分配金総額
2022年$3.25
2021年$3.10
2020年$2.90
2019年$2.84
2018年$2.65
参照:Vanguard(2022年12月31日時点)

過去5年間でも分配金の総額は増え続けており、2021年以降は$3.00を超えていることがわかります。

分配金の総額を参考に、過去5年間の配当利回りは、「その年の分配金総額÷年末株価」で計算すると以下のようになります。

2022年3.01%
2021年2.76%
2020年3.18%
2019年3.04%
2018年3.40%
参照:Vanguard(2022年12月31日時点)

配当利回りは3%前後で安定して推移していることがわかります。

これらのデータから、VYMは安定した高配当を受け取れるだけでなく成長も期待できるでしょう。

VYMのメリット・デメリット

ここまで見てきたVYMの特徴から、メリットとデメリットを紹介します。

VYMのメリット

VYMのメリットは大きく3つあります。

VYMのメリット

・配当利回りが高い
・分散投資によるリスク低減効果が期待できる
・運用コストが安い

メリットとしてVYMの最大の特徴である、配当利回りの高さがあげられます。

他のETFでは配当利回りが1%前後であることが多い中で、VYMは過去5年間3%前後を推移していることから配当利回りの高さがうかがえます。

またVYMは400種類以上の銘柄を対象とするETFであることから、分散投資によるリスク低減効果も期待できます。

さらにVTIは運用コストである経費率が年率0.06%と低くなっており、SBI証券の米国ETFの手数料が約定金額の0.45%であることを踏まえると、非常に低いことがわかります。

運用コストは高ければ高いほどリターンが減ってしまうため、投資を行う上で非常に重要な項目となります。

VYMのデメリット

VYMのデメリットは大きく2つあります。

VYMのデメリット

・配当利回りの高さは他の高配当ETFに劣る

配当利回りは他のETFと比較すると高いですが、高配当ETFと比較すると高いわけではありません。

しかしVYMは高配当なだけでなく成長も見込めるため、、両方の側面から利益を期待できます。

VYMの買い方

VYMの買い方は以下の通りです。

証券会社で口座開設(外国株式口座も同時開設)

VYMを購入できる証券会社の口座を開設しましょう。

このとき、総合口座と同時に外国株式口座も開設します。

総合口座に入金

総合口座に円の資金を入金します。

外国株式口座に資金を振り替え

総合口座に入金した円の資金を外国口座で米ドルへ振り替えます。

VYMを注文する

希望する単位分のVYMを注文します。

まとめ

VYMはバンガード社が管理・運用しているETFであり、米国株式市場の高配当株400銘柄以上で構成されています。

配当利回り3%前後と高配当だけでなく、今後も成長が見込まれるETFです。

メリットやデメリットを踏まえ、自分のスタイルに合わせた投資を行いましょう。