【東京 経済 最新ニュース】日本だけスタグフレーション直撃。先進国で唯一「マイナス金利」継続、しわ寄せで国民の生活水準が落ちていく
【ニュース概要】
政治的な思惑はあるにせよ、インフレ抑制で先頭に立つ米国が、ドル高でインフレを吸収し、世界の資金を流入させて金融の引き締まりも回避、まさに一人勝ちの様相を呈しています。
その尻ぬぐいをする日本が国民の生活水準を下げ、外国人観光客や投資家に大安売りをして草刈り場となっています。これで良いのでしょうか。(『 マンさんの経済あらかると 』斎藤満)
石油ショック以来のスタグフレーション
昨今の世界経済は、約50年前の石油ショック以来のスタグフレーションに苦しんでいます。
つまり、石油やその他資源価格の大幅上昇により、先進国、途上国を問わずにインフレが進行し、同時に所得を資源産出国に奪われ、景気悪化のダブルパンチを受けています。
特にウクライナ戦争の影響でロシアからの天然ガス供給が急減しているドイツではPPI(生産者物価)が30%以上の上昇となり、CPI(消費者物)も10%に迫る上昇となっています。
そしてOECD(経済協力開発機構)の見通しでは、ドイツ経済は23年の成長率がマイナス0.8%に落ち込む予想となっています。エネルギー・コストが2倍以上になり、かつ供給が縮小しているためです。
石油ショック後の昭和49年の日本でも、石油価格の急騰から、卸売物価が年間で31.3%の上昇となり、消費者物価も年間で21.9%も上昇、昭和49年の実質GDPはマイナス成長に落ち込みました。
現在のドイツで起きていることは、石油ショック当時の日本の再現のように見えます。
ロシア産エネルギーの制約を直接受けるドイツやユーロ圏ほどではありませんが、米国もスタグフレーションに陥っています。CPIは年央に前年比9%まで上昇し、今年1-3月、4-6月のGDPは2四半期連続のマイナス成長となりました。
サプライチェーンの停滞により生産が縮小したうえに、輸入資源高で所得が海外に流出し、物価高で消費が大きく減速したことがマイナス成長をもたらしました。
二分したスタグフレーション対応
このスタグフレーション、景気の悪化とインフレ高進が同時に進むために、政策当局は景気悪化に対処するか、インフレ抑制を重視するのか、頭を悩まされます。
石油ショック当時には、まず各国ともにインフレに対応し、金融引き締めに出ますが、景気の悪化を無視できなくなったイギリス、フランス、イタリア、米国はインフレが収まる前に金融緩和に出ました。
一方で日本と西ドイツは景気の悪化にはしばらく目をつぶり、インフレ抑制により重点を置き、金融引き締めを続けました。
日本が公定歩合の引き下げに動いたのは昭和50年4月15日で、CPIの鈍化とともに、春闘ベアが14%台に収まる見通しが立ってのことでした。前年のCPI21.9%上昇に対して、組合は物価後追いで相応の賃上げを求めたのですが、日銀としては「賃金物価の悪循環」を断つ必要がありました。
各国でスタグフレーションへの対応が分かれたのですが、その結果を見ると、早めに緩和転換したイギリス、フランス、イタリア、米国ではインフレの再燃、長期化が見られます。
一方、西ドイツ、日本では景気の負担は大きくなりましたが、それでもインフレは沈静化に向かいました。
日本のGDPは昭和49年の10-12月期と50年1-3月期に2四半期連続でマイナス成長となりましたが、その後はプラス成長に復帰。昭和49年に20%を超えていた日本のCPIは、50年12月には前年比7.7%まで減速しています。インフレ抑制という点では日本と西ドイツがうまくやりました。
これは為替にも反映されました。米ドル、英ポンド、仏フラン、伊リラが下落基調となった一方で、日本の円とドイツマルクは上昇を続けました。ドル円は昭和50年に1ドル300円前後でしたが、その後円高が進み、53年には1ドル200円を割り込む円高となりました。
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【経歴】
1979年生まれ 京都市出身。
同志社大学経済学部卒業後、日本ユニシス株式会社(現BIPROGY 株式会社)入社。一貫して金融機関向けITシステム開発業務に携わる。
金融システム開発の現場で、2007年~2009年頃のリーマンショックによる経済の大混乱、強烈な景気後退、資産の激減などを目の当たりにする。
その経験から、「これからの日本人の合理的な資産形成・防衛に、正しい金融リテラシーが絶対に必要」という強い思いを持ち、2011年4月 株式会社トータス・ウィンズに入社。
中小企業に特化したリスクマネジメント対策のコンサルタントとして、500社以上の中小企業、1,000人以上の保険相談業務に携わる。2015年、代表取締役就任。
法人保険活用WEBサイト『点滴石を穿つ』を運営する一方で、法人向け保険代理店として、東京都中央区を中心にコンサルティング活動を行なう。
【趣味】
美術館巡り、千葉ロッテマリーンズの応援
【自己紹介】
中小企業向けの金融商品が数多ある中で、わたしは一貫して『100%顧客優位な商品選び』をポリシーに中小企業経営者向けの保険活用プランニングを行なってきました。
これまでのキャリアでの最大の学びは、『お金やお金の流れに関する知識や判断力=「金融リテラシー」は、私たちが社会の中で経済的に自立し、生き抜くために必要不可欠』ということです。
そして金融・保険に携わるプロとして、何よりお客様に対する誠実さ・真心・信頼関係より大切なものはないと考えています。
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