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【お勧め書籍】いま中国人は、中国をこう見る

お勧め書籍
【お勧め書籍】いま中国人は、中国をこう見る

公開日 2022年10月12日 更新日 2022年10月13日

2022年時点のごく一般的な中国人の政治観や心情を
リアルに描いたノンフィクション

2020年以降、コロナ禍の影響で日本への外国人旅行者の数は激減しました。

外国人旅行者の中で、かつて圧倒的に多かったのは中国人です。2019年には過去最多の約959万人(全体の約3割)を記録していました。しかし2022年10月時点において、日本を訪れる一般的な中国人はほぼゼロです。

その理由は、中国政府が国を挙げてゼロコロナ政策を強力に続けていて、もし訪日旅行中に中国人がコロナに感染してしまったら大変なことになるからだといいます。

だから一般的な中国人は、わざわざ大きなリスクを冒して日本を訪れようとはしません。中国人によるインバウンド需要復活の見通しは、今後もまったく不透明です。

そんないま一般的な中国人は、母国および日本についてどのような感情を持っているのでしょうか?私たち日本人の多くは、もっとも身近な隣国の中国について、マスメディアを通じて知った気になっているだけで、実情を全然知らない側面があると思います。

そんな私たちに、中国国内/日本在住/アメリカ在住のごく一般的な中国人のインタビューを通じて「中国人による今のリアルな中国観と日本への関心」を教えてくれるのが「いま中国人は中国をこう見る」(中島恵氏著)です。

その「中国人の生の声」はどれも、中国と直接の接点がない人ではまず間違いなく知り得ない事ばかりです。読了後にはきっと、これまでの中国観が大きく変わると思います。

いまの中国の一般事情を知る書籍としてはとてもおすすめです。書籍の中で、特に印象深かったトピックをいくつかご紹介します。

超厳格なコロナ対策

いまの中国で避けては通れないのが「健康コード」

・「健康コード」とは、スマートフォンアプリによるコロナ対策のこと。

⇒オフィス/役所/公共交通機関/商業施設など、どこに行くにも提示が必要。

・このアプリには毎日入力/報告が必要で、ワクチン接種歴/14日以内の行動履歴/PCR検査結果などが記録されている。

・省を超える外出は、理由や行先が厳格にチェックされ、海外旅行などもってのほか。日本どころか隣の省にも行けない人が大勢いる。

身の回りで「コロナ感染者」が出たら大変なことに

・2021年10月末、上海ディズニーランドの入園者から1名の感染者が出た。

⇒即座に2日間の休園が決定。

⇒3万人以上の来園者とスタッフは園内で拘束されて、全員にPCR検査が実施された。検査は終了まで長時間を要し、最後のひとりが検査を終えてパークを後にしたのは、日が変わった午前8時過ぎだった。

⇒さらに3万人以上の来園者とスタッフ全員、および同居している家族全員は、2日間の施設での隔離と12日間の自宅観察が強要された。

・中国のコロナ対策は「目に見えない鎖で縛られている感じ」。いざ自分がいた場所でコロナ感染者が出たら、ただ事では済まない。自分だけでなく家族、集合住宅全体に影響する。まわりからの同調圧力がすごいので、旅行に行きたくても自粛せざるを得ない。

・コロナに関する近所の目は日本よりはるかに厳しい。中国の集合住宅(マンション)は、数棟から数十棟が一つの敷地で数百~数千世帯が居住しており、住民全員が大きな町内会に所属している。そのため住民を非常に管理しやすい構造になっている。

・地方自治体や町内会は、自らが管理する築で感染者が出たり感染が拡大したりしたら、厳しく責任を問われる(処分される)。だから住民のコロナ対策には超厳しく対応する。

中国が「ウィズコロナ」を絶対に認められない理由

⇒「世界中で中国だけがコロナを完全に抑え込んでいる」

⇒「それは中国政府のリーダーシップの賜物で、感染が収まらない欧米は無策である」

⇒「共産党の政治体制に批判を向けさせないためにも、絶対に中国はゼロコロナでなければならない」

⇒「2022年秋の共産党大会で決まる予定の習近平体制3期目に花を添えるためにもゼロコロナ維持は必須である」

・コロナという未曽有の危機があったからこそ、習近平政権の支持基盤は非常に強固になった

⇒中国人は共産党のコロナ対策をどう考えているか?という問いに対しての中国人の反応は、おおむね7~8割が賛成、2~3割が反対という感じ。

⇒「徹底したゼロコロナ対策は嫌だが、他に感染を抑制する方法がない」「コロナ対策が万全だから安心して生活できる」と思っている人は多い。

政府のコロナ対策に不満を漏らせばひどい目に合う

⇒中国は14億人もの人がおり、パブリックの場でのルールを守ろうという意識は田舎に行くほど薄い。

⇒日本人には想像もできないほどに中国は広大で、地域によって文化も言語も違う。だから政府は人々を強制的に縛るしか方法がないし、自分たちの生活を守るために人々もまたそれを望んでいる。

⇒アメリカはコロナで80万人以上もの犠牲者を出した。人々のアメリカへの憧れは、確実に薄れた。

⇒日本のような自主性任せの対策は、中国人には理解できない。「緩すぎる」「手ぬるい」「無責任」に映る

激変する社会常識/住み心地は?

中国には「言論の自由がない?」

⇒SNSの投稿などには政府によるAIの検閲が入る

⇒単なる政治談議のつもりでも身の危険につながりかねない

⇒投稿写真に写りこむ些細な画像など、大勢の人が目にするものや表現等のありとあらゆることに慎重性が必要

習近平政権を支持する人が多数派

⇒コロナ感染拡大を防いだ信頼は非常に大きい。

⇒国が経済成長し続ける間は現政権への支持は揺らがないし、政権が安泰ならさらに経済は安定する

⇒数十年前、中国は貧しかった。食べるものも満足になく、仕事・住居・人生を自由に選べなかった。そんな時代に比べたら、今は夢のようだ。

⇒多くの中国人は、「自分たちの生活が豊かになっていく」ことだけに興味があり、極論それ以外はどうでもよい。

⇒日本人は「中国人は不幸せ」「抑圧されて可哀そう」と思っているかもしれないが、もはや時代が違う。逆に日本はいつまでたっても経済成長しない国で可哀そうだ。

近年は都会なら喧嘩なんてまず見かけない

⇒経済成長による精神的余裕、海外経験、ネット(SNS)の発展、監視カメラなど様々な理由が考えられるが、多くの人が「人前で罵り合うのは恥ずかしいこと」と感じるようになった。

⇒社会が成熟してきて、数年前よりマナーがずっと良くなった。

⇒ただし広大な中国では場所による格差がすごくある。都市部と地方で、受けてきた教育や環境がまるで異なり、その格差は日本人には信じられないほど大きい。

ネットでの買い物については、中国ほど便利な国はない

⇒比較すると、日本のネットスーパーや電子マネーなどの決済システムは不便すぎる

⇒中国の物価は総じて日本より高くはない。

⇒高いのは都市部の不動産や教育、一部の高級料理店・ホテルぐらいで、光熱費や交通費などはとても安い(例 北京市内の地下鉄は2~4元(35円~70円)、ランチデリバリー20~30元(350円~530円))

・街中の公衆トイレも毎年どんどんきれいになっているし、PM2.5なんて数年前までの話で今の北京市内は青空の日が多い。

・今の中国は仕事がとても多く、定時で帰るサラリーマンなんてほとんどいないというくらい勤勉。週6日9時~21時勤務という人も多い。月1~2日しか休まない人も多い。まるで30年前の日本のよう。

「共同富裕」と格差への不満

貧富の格差を是正する「共同富裕政策」

・貧富の差が大きくなり過ぎたため、政府は「共同富裕」という対策を打っている

⇒主に教育、不動産、巨大IT企業、芸能界などが目をつけられた。

⇒富裕層や大企業に寄付を奨励。対象となりそうな企業・個人は政府の圧力を避けようと必死。一部の芸能人は見せしめのために脱税容疑で巨額の税負担を課されたり、芸能界から追放されたり、逮捕されたりした。

・中国の戸籍は、都市部(個人:その町出身/団体:地方出身者)、農村と別れていて、どの戸籍に属するかによって、受けられる教育レベルが異なる。

⇒子どもを国立大学に進学させたければ、都市部(個人)の戸籍取得が必須で、そのためには都市部の不動産の取得が必須。コネやお金がないと無理。

⇒教育一つとってもカーストがあり、非常に複雑。都市と農村には大きな格差がある。

・選挙による政権選択の自由が存在しない中国では、世論の支持を得られる政策が施行されやすい

⇒世論の得られにくい政策は、政府の正当性について国民から認められない

中国国民は、なぜ習近平政権を支持しているか?

⇒中国では何事も一気呵成に例外なく、強制的にやらないと巨大すぎるゆえに中国は変われないことを国民は理解している

⇒大きな反発が起きないのは、政府が巨大すぎる中国のマイナス面を、なんとかプラスに変えようと努力していることを感じているから。

⇒そして、それは「数十年も続く生活水準の向上」という形で国民の多くが享受できている。だから国民は付いていける。

⇒いろいろ不満はあれど、政府が格差解消に向けて取り組んでいる姿勢を多くの国民は評価している

ナショナリズムが高まる必然性

・2021年8月、大連市で京都と唐の時代を再現した観光スポットがオープンした

60億元(1068億円)もの資金が投じられたビッグプロジェクトで、大人気スポットになると期待されていた

⇒ところが、蓋を開けてみるとネット上で猛批判され、開業1週間で営業停止に。

⇒中国人ならだれもが知る9/18「国辱の日(満州事変が起きたきっかけとなった柳条湖事件が起こった日)」直前で、日本の文化的侵略だと非難の声が多数寄せられた

・少し前まで「日本製品、日本的なサービス、日本の文化」は大人気コンテンツだったが、中国のナショナリズムの高まりによって「日本を褒める=中国をけなす」と受け止められかねない雰囲気がある。反日気運が高まっている

日本に対する「上から目線」

⇒実際に中国人と直接関わったこともないのに「中国人に対して上から目線」の日本人とほとんど変わらない。

⇒日本を貶める動画が中国人(とくに日本に行ったことのない人、日本人とかかわったことのない人)にウケている。SNSでバズりやすい。たくさん投稿され、ものすごい数の「いいね」を集めている

⇒日本人も日本のメディアにしっかり洗脳されている。洗脳されていることに気づかない、全く疑問も持たない人も多い。まったく同じ現象が中国人にも起きている。

日本に対するイメージの大きな変化とは?

・中国に対する日本の影響力は、経済的には小さくなっているが、アニメ・マンガ・音楽・ゲーム・ドラマなどの文化的な影響力は依然として大きい。

・日本語は漢字が多く、中国人にとって最もとっつきやすい外国語で勉強しやすい。高校以上の高等教育で必須の外国語で、日本語は点数が取りやすいために人気。日本語を学べる高校が非常に増えている。

<例.2021年広州市仏山市>

⇒人口600万人 市立の全高校の7~8割で日本語教育のカリキュラムがある

⇒日本人にまったく知られていないところで、数百万人といった規模の中国の若年層が、率先して日本語教育を受けている現状がある。

・その一方、中国のZ世代は「日本製」への憧れは皆無。お金はあるので日本のようにプチプラ(低価格)には興味を示さない。おしゃれで品質が良いものが欲しい。

⇒日本製品は数ある外国製品の中の選択肢のひとつに過ぎず、今や日本製品に対して「高品質」というイメージは殆どなくなっている

⇒今や中国人の自国製品に対するコンプレックスや不信感も驚くほどなくなりつつある。

まとめ

本書の中で、特に印象に残ったのが以下の文章です。

日本からは、中国政府が挑発的な外交を行い、ナショナリズムを高揚させて、国内の諸問題から国民の目をそらそうとしているように見える。

だが、「党は党、国は国、中国人は中国人、自分は自分だ」という一歩引いた気持ちで自国を見ている中国人も多い。 「中国中の人が覇権主義に賛同し、中国に世界でナンバーワンの国になってほしいなんて考えているわけではありません。 多くの中国人は自分と家族の生活を守り、ただもっと豊かになることだけを望んでいます。求めているのは社会の安定と家族の幸せ、それだけなんです

総じて、コロナ禍を経て中国人の生活や意識がどのように変化したかがよくわかる書籍でした。一言で「中国」といっても、その国土は日本の25倍以上、人口は10倍以上です。

その広さ、多様性は、日本人には想像もつかないほどです。あまりにも広大な国すぎるからこそ、「民主主義で物事を決める」ということが事実上不可能であり、今の共産党による統治の方法しか事実上難しいのかもと考えさせられました。

また、キャッシュレスなどのITでは中国の方が日本のはるか先を行っているために、中国人には日本がレトロに見える、昭和の文化が斬新に映るという記述も非常に面白いと思いました。同様の指摘は最近さまざまな媒体で聞かれるようになってきているので、決して的外れではないのでしょう。

本書は、匿名の個人へのインタビューのまとめで情報源が明らかにならないように配慮されています。そのために主義主張が薄く、ひとびとからの伝聞のまとめ記事のような構成になっていますが、2021-22年時点の中国のリアルな雰囲気を知るにはとても面白い貴重な本だと思いました。お勧めです。

当記事がご参考になれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。