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ウォーレン・バフェット 『S&P500に9割投資』のスゴさと落とし穴

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ウォーレン・バフェット 『S&P500に9割投資』のスゴさと落とし穴

公開日 2021年8月2日 更新日 2022年3月16日

「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェットが、「私が死んだら1割は米国短期国債に、残り9割はS&P500に連動するインデックスファンドに投資しなさい」と自分の妻に、運用アドバイスを残したエピソードは有名です。

そんなS&P500指数ですが、2021年末まで最高値を更新し続けていたのも今は昔です。

2022年に入ってからは、

  • 新型コロナウイルス「オミクロン株」の世界的流行
  • メタ・プラットフォームズ(旧Facebook)株、過去最大となる時価総額の急落(22/2/3)
  • ロシアによるウクライナ侵攻

などの影響により、一時は年初来高値から10%以上のマイナスになりました。

ウォーレン・バフェットも勧めるS&P500への投資ですが、混迷を極める世界経済情勢の中で、今後も買い続けて大丈夫なのでしょうか?

今回は「ウォーレン・バフェット 『S&P500に9割投資』のスゴさと落とし穴」と題して、これからの資産運用を考えてみます。

資産家たちがこぞって「米国株への投資」を選ぶワケ

理由1 過去の圧倒的な実績があるから

100万円を30年間運用すると「日本株は104万円、米国株は2100万円」という現実

中長期の資産運用にもっとも適した金融商品は何か?

現状、まず筆頭に考えられるのが米国株への投資だと思います。

著名な米国株ブロガーのたぱぞう氏は、PRESIDENT Onlineの記事で「資産を築くためには、成長が期待できるものに投資するのが原則。日本株ではなく米国株が候補になるのは、この30年の実績をみれば明らか」と指摘しています。

【参考記事】

なにせ「元手100万円を1990年から30年間運用したら、日本株は104万円にしかならなかったが、米国株なら2100万円になった」というのですから、資産運用に関して米国株を推奨するたぱぞう氏の主張も当然といえそうです。

画像の出典:https://president.jp/articles/-/47824?page=2

理由2 米国が「主要先進国でほぼ唯一の人口増加市場」であるから

先ほどご紹介した記事中では、米国株の強さと今後も期待できるポイントとして、以下の2点が挙げられています。

  • 米国は人口がこれからもずっと増加し続ける見通しであり、消費成長国である
  • 投資に見合った法整備がなされている

アメリカの人口構造は日本と違い、未だに成長途中にあります。米国は人口が増え続けており、2022年の3億3300万人の人口が、2030年には3億5000万人、2050年には3億8000万人を超えると見込まれています。

世界的にみて、アメリカは「主要先進国でほぼ唯一の人口増加市場」と言えます

労働力人口はどうでしょうか?日本と比較してみましょう。

こちらの記事から引用します)

【アメリカの15~64歳の生産年齢人口の変化】

・2020年:2億1514万人(総人口に占める割合:65.0%)

・2030年:2億1767万人(総人口に占める割合:62.3%)

・2050年:2億3176万人(総人口に占める割合:61.1%)

【日本の15~64歳の生産年齢人口の変化】

・2020年:7482万人(総人口に占める割合:59.2%)

・2030年:7004万人(総人口に占める割合:58.0%)

・2050年:5366万人(総人口に占める割合:50.7%)

人口増は労働力と消費の担い手を拡大し、経済成長の原動力となります。

一方、日本をはじめ多くの国では少子高齢化が進行し、これから労働力不足や社会保障費の増大などの問題になることが懸念されています。

上記の比較からも分かるように、アメリカの人口構造は日本と真逆の状況です。

2050年には、日本は今より2000万人近く現役世代の働き手が減るのに対して、アメリカは逆に2000万人近く増えるのです。

これから少子高齢化による現役世代への社会保障負担増が本格化する日本と、まだまだ人口が増え続けるアメリカ。どうみても市場の将来性の面では米国市場が優位に思えます。

果たして世界の投資家は、中長期的な投資先としてどちらの市場を選ぶでしょうか。

理由3 企業の新陳代謝が早く、魅力的な企業が生まれやすい土壌があるから

理由1で過去の運用実績、理由2でこれからの米国市場の将来性をあげました。

更にこれに加えて、識者がよく指摘する米国企業の強みに、「日本企業とは比較にならないほど企業の新陳代謝が早く、魅力的な企業が生まれやすい土壌があること」があります。

【参考記事】

こちらの記事によれば、1989年(平成元年)のグローバル時価総額ランキングTOP50をみると、日本企業は32社も入っていました。

しかしそれから約30年後の2022年(令和4年)には、日本企業は1社のみ(トヨタ自動車の26位)です。

その一方、上位50社のうち米国は最多の34社で、上位10社のうち8社を占めています。

また1989年の世界トップはNTTで1638.6億米ドルですが、2022年の世界トップはAppleで、時価総額はなんと約2兆9,000億米ドルという途方もない数字です。

トップ50位以内に入っている企業はすべて時価総額2000億米ドル超ということからも、この30年間でどれほど世界経済が大きく成長しているかが分かりますね。

画像の出典:2021/12/26 日本経済新聞オンライン

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC163DI0W1A211C2000000/

なぜウォーレン・バフェットは、S&P500投資を推奨するのか?

「S&P500投資」は、米国市場をほぼ丸ごと買っているのに等しい

「一般投資家ならば、個別株よりもS&P500へ投資した方が賢明だ」

2021年5月1日、自身が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイのオンライン株主総会で、ウォーレン・バフェット氏は株主たちにそのように強調したそうです。

【参考記事】

コロナ禍で将来が見通せないなかで個別株にやみくもに手を出すより、米国を代表する株価指数のS&P500に連動する投資信託やETF(上場投資信託)を買うだけで十分な利益を得られるという意味ですね。

一昔前までは、「一般投資家が日本にいながら米国市場、世界市場に投資すること」自体が難しかった時代がありました。

しかし昨今では、ネット専業の証券会社によるサービス拡充など投資環境が大変整備されてきていて、市場全体に投資できるタイプの金融商品の選択肢が飛躍的に増えています。

例えばS&P500インデックス連動型や、先進国株式型や全世界株式型(除く日本)連動型など、マーケットに連動した買い方が非常に多種多様に出来るようになっています。

これらは個別企業の株式を購入するのではなく、マーケット全体に対してコツコツと少しずつ積み立てて、ドルコスト平均法で買う方法です。

だから一般投資家が、これらをNISA口座やiDeCo口座などを介して継続的に購入する時点で、時間分散・投資先分散されていますし、マクロ経済分析・個別企業分析なども不要なのです。

S&P500指数は1991年(30年前)と比べると10倍以上になっており、年率平均9%程度の運用実績を残しています。

この間、S&P500に組み込まれている企業は毎年入れ替わっています。

つまり中長期にわたってS&P500へ積立投資するということは、「時代の趨勢にあった最も安定度・成長度の高いNY市場に上場されている企業Top500社に分散投資している」のです。

もちろんすべてではありませんが、米国市場をほぼ丸ごと買っているのに等しいとも言えるでしょう。

「S&P500投資」の落とし穴 短期間の急激な値動きに注意

中長期的にみて大きく成長しているS&P500指数ですが、このような市場全体への投資にも注意すべき点があります。

それは「短期間の急激な値動き」です。

【S&P500 2017年3月~2022年3月の5年間推移】

画像の出典:https://www.bloomberg.co.jp/

例えば2020年3月のコロナショック時に、S&P500指数は僅か1か月でなんと約30%も値下がりしました。2020/2/14に3,380だった指数は、2020/3/20には2,304まで急落したのです。

こんな急激な値動きを事前に予見できた人は、プロを含めもちろん殆どいませんでした。ここで慌てて損切りして売りに走ってしまった人は、結果として大損することになります。

その後、世界的なコロナワクチン普及などを背景に株価は上昇し続け、2021/12/31時点では4,766と過去最高値を付けました。

しかしその後、世界的な物価高や「オミクロン株」の流行、ロシアショックなどで一気に値下がりし、2022/3/15時点では4,173となっています。

S&P500がこれまでいくら中長期的にずっと右肩上がりの傾向であるといっても、このような短期間の急落・急騰についての予測をタイムリーに的中させるのは、素人ではまず不可能です。

だからこそ個人的には「余裕資金をリスク分散のために外貨で保有する」ぐらいのスタンスで、期間はどんなに短くても5年以上の中長期積み立て投資とするのがよいのではと思います。

「S&P500投資」で成果を出すには辛抱強さも必要 長期間にわたって停滞することもある

S&P500指数に連動する商品に投資する場合には、もうひとつ注意すべき点があります。

ここ10年ほど、2013年以降は力強い上昇が続いて最高値を更新し続けているので見逃しがちですが、過去には長く停滞していた時期もあるのです。

画像の出典:https://finance.yahoo.com/

上の図表は1992年から直近までのS&P500の動きを示したものです。図表を見て一目でわかるのが、2000年から2013年ごろの伸び悩みです。この間は上がったり下がったりを繰り返し、上昇していません。

特に2003年のITバブル崩壊後や2008年のリーマン・ショック後のタイミングでは大きく値を下げています。この間に投資を続けるのをやめてしまうか、売却して市場から撤収しまっていれば、大きくマイナスを出してしまったでしょう。

これから先、アフターコロナの世界情勢・ロシア危機・FRBによる金利引き上げ・資源や穀物などの物価上昇など、先行きを確実に予見できるようなものは、ひとつとしてありません。

もしかしたら2022年以降、世界経済や株価は低迷する時期を長く経験するかもしれません。

そんな可能性もあることを、よく理解したうえで、投資することが大切です。

初めからそのつもりでいれば、もしこれから停滞時期が長く続いても・場合によってはマイナスに転じたとしても、我慢して次の上昇を待つことができます。

逆にそういった心構えができていないと、S&P500指数が急落したときに不安・恐れから慌てて売却して、大きな損失を確定してしまいかねません。

現預金に変えればそれ以上マイナスになることこそありませんが、物価上昇している際には逆に資産価値が下落してしまいます。

一方、長期積み立ての投資であれば「評価損」が発生しても売却しない限り、損失は確定しません。資金を取り崩す必要性があるときまで、「コツコツと買い増して、保有し続ける」のが、一般人が投資するには最良の方法だと思います。

とはいえ、人によっては「これからの時代に米国株式偏重で大丈夫か?」と思われるかもしれません。歴史的にも、上記のとおりS&P500には2000年~2013年頃のように停滞する時代がありました。

過去の超長期リターンをみれば、米国株式のリターンは世界中で最も高いパフォーマンスだったことは確かです。しかし、投資できる期間は人によって異なります。たまたま米国株式市場が低迷している間に米国株式だけに投資をしてしまうと、想定外の低リターンになってしまうことはあり得ることです。

それを回避するためには、米国株式だけでなく全世界株式、または先進国株式などに連動する商品にも、分散して投資されるとよいと思います。

例えば、

  • S&P500連動型のインデックス投信 50%
  • 全世界型のインデックス投信 50%

というような形で分散投資するのが、ひとつの解決策になるでしょう。

このあたりは投資系のブロガーやYouTuberなどに、具体的な投資先(ファンド名)、投資配分や運用成果まで公開している方が最近沢山いらっしゃいます。

人によってさまざまな考え方、投資スタイルがありますから、自分に合いそうなやり方をマネする・参考にされては如何でしょうか。

まとめ 「S&P500投資」は、目先のことは考えない長期投資として有効

今回は「『S&P500に9割投資』のスゴさと落とし穴」と題して、これからの資産運用を考えてみました。

アメリカ人の超資産家ウォーレン・バフェット氏だからこそ「自分の死後、遺産の9割はS&P500で運用するべし」というメッセージを残している訳なので、日本人である我々が同じように手持ち資産の9割をS&P500に投資するのは無理があります。

しかし投資のプロ中のプロであるバフェット氏が推奨するS&P500への投資は、長期投資の王道であると思いませんか?

・・・とはいえ、今後の世界経済全体の動きを考えると、米国政府(FRB)の金融引き締めやロシア危機の影響で、大きく株価が下落する可能性はかなりあります。

  • 「いま投資を始めるのはやめておいたほうがいい?」
  • 「むしろいったん売却を考えた方がいいのか?」

と考える人もいるでしょう。

これから先、マーケットがどう動くかを予想し、的中させるのはプロでも簡単ではありません。ましてや素人には不可能です。

そして「安い時期で買った金融商品をいったん売却して再投資の時期を狙い、保有し続けるよりも高いリターンを狙う」・・そんなことが出来ればいいですが、至難の業です。

「確実な未来」は誰にもわかりませんが、過去の動きから考えると、いつかまた値を戻す日がくるでしょう。「その日まで、市場から退場しないで投資を続けるべきだ」というのが、ウォーレン・バフェットからの「一般投資家ならば、個別株よりもS&P500株価指数へ投資した方が賢明だ」という言葉に込められた真のメッセージではないでしょうか。

これからも米ドルが世界の基軸通貨であり続けるという状況を踏まえると、これからも大局的にはアメリカの国際的な地位は揺るがず、中長期的には株式市場も成長していくと思います。

「急落する相場を黙ってみながら投資し続ける」というのは誰でも辛い状況だと思います。しかし、あえてそこで損切りせずにS&P500連動型の投資信託に黙々と積み立て続ける。これから将来のために必要なのは、そんな目先の市場の動きにとらわれない長期積み立てだと、私は考えます。

投資に唯一無二の正解はありません。時間を使って分散して、積み立てていくことが大切です。

当記事がご参考になれば幸いです。なお当社では個人の長期資産形成に関しまして、オンライン・対面で無料相談を承っています。

ご相談者様に不要と思われる商品提案等は一切行いませんので、お気軽にお問い合わせください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。