【東京 税対策 最新ニュース】個人事業主を殺す「インボイス制度」なぜ導入?税理士・神田知宜氏に聞く“増税”との戦い方=鈴木傾城
ニュース概要
今年10月に迫る「インボイス制度」導入によって、個人事業主やフリーランスなどの免税事業者が大きな打撃を受けることが懸念されている。そのため、この制度に反対する人たちの声が日増しに大きくなってきている。この中で積極的に「インボイス制度・ボイコット大作戦」を広めている税理士がいる。それが神田知宜先生である。インボイス制度は何なのか。問題点はどこにあるのか。そして私たちはどう対抗したらいいのか。それを神田知宜先生に聞いてみた。(『 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 』)
個人事業主・フリーランスに大打撃「インボイス制度」
今年・2023年10月にインボイス制度の導入が迫っており、これによって個人事業主やフリーランスなどの免税事業者が大きな打撃を受けることが懸念されている。
インボイスというのは、「適格請求書」のことを指すのだが、今後企業はこのインボイス(適格請求書)がないと消費税の仕入税額控除ができなくなる。そのため、課税事業者は個人事業主やフリーランスなどに、インボイスの発行ができるように「インボイス発行事業者」になることを求めるようになる。
ここからが問題だ。インボイス発行事業者になるためには「免税業者」から「課税事業者」になる必要があるのだ。これによって規模が小さな事業でギリギリで生計を立てている個人事業主やフリーランスは一気に税負担が増える。赤字だろうが何だろうが税金の支払いが発生する。
これを避けてインボイス発行事業者にならないのであれば、発注元が取引を切るか、もしくは値引きを迫ってくる可能性がある。いずれにしても、インボイス制度が始まった瞬間にギリギリでやっている個人事業主やフリーランスが廃業を迫られることになってしまうのである。
俳優・声優・ライター・編集者・アーティスト・漫画家・イラストレイター・トレーナーなど日本の社会を多彩に彩っている分野から、個人タクシー・一人親方・配送業者・飲食店事業者などの社会になくてはならない分野まで、日本の文化・社会を支えている人たちがみんなまとめて苦境に落ちていく。
そのため、この制度に反対する人たちの声が日増しに大きくなってきている。この中で積極的に「ギリギリ登録」と「取り下げ」で構成された「インボイス制度・ボイコット大作戦」を広めている税理士がいる。それが神田知宜先生である。
インボイス制度は何なのか。問題点はどこにあるのか。そして私たちはどう対抗したらいいのか。それを神田知宜先生に聞いてみた。
それは免税事業者からも税金を吸い上げるための制度?
鈴木傾城(以下、鈴木):神田先生、今日はどうぞよろしくお願いいたします。まず最初に、先生はインボイス制度というのをどのように見ておりますか?
神田知宜(以下、神田):はい。ひとことで言うと、これは『10月1日からの消費税の増税』です。税率が上がらない増税です。税率は8%や10%のままなのですが、それでも増税になるという話なんです。
鈴木:今まで免税だった分に支払いがかかるようになるので確かにそうですね。
神田:財務省の試算では、どのぐらいの税収アップになるかというと2,480億円と言われています。事業者のピラミッドがあるとするじゃないですか。所得の多い事業者がピラミッドの上で、所得の少ない事業者がピラミッドの下とします。インボイス制度というのは、要するにその2,480億円を一番下のところから吸い上げようとする増税なんです。
鈴木:1,000万円以下の売上の事業者は免税業者って言われていますね。そういう人たちは今まで税金は免除されていました。インボイス制度では、これからもう免除しないと。
神田:そう。免税事業者は課税事業者になって消費税を払いなさいよ、という制度ですよね。
鈴木:しかし、何でこんな景気が悪い中でやろうとしたんですかね。
神田:本当のところはわからないけれども、消費税導入の時点からインボイス制度も導入したかったようなのですが、反対にあって今まで導入してきませんでした。しかし、2019年に消費税が10%に上がった時に、税率が2種類になりました。標準税率が10%で、軽減税率が8%です。その時に、財務省側で「これはインボイス制度を導入するチャンスだ」と思ったんじゃないかな。そんなふうに言われています。
ひとつの税率だったら消費税の計算は簡単なのですが、2種類になったら計算が難しい。複雑になります。今までの帳簿方式ではミスが増えるし、うまく運用できないということが出てくると財務省は言っているようです。領収書や請求書のことを「インボイス」と言うのですが、インボイス方式はそこに書いてある数字を足して計算するので正確に計算できると。だから複数税率が引き金になって、今このタイミングで導入することになったようです。
よりによって、なぜ今?
鈴木:なるほど。ただタイミングが問題ですよね。日本経済もかなり落ち込んでるじゃないですか。ましてコロナ禍からまだ回復してない状況です。物価も上がっていますよね。
神田:そうなんです。私がとくに心配しているのがゼロゼロ融資の返済ですね。コロナ融資、最近はゼロゼロ融資と言っていますが、これはコロナの時に資金繰りが大変だということで、実質無利子・無担保の借り入れができました。
これには据え置き期間があったのですが、その据置期間が終わり返済が始まるピークが2023年の7月から来年の4月にかけてくるのです。7月から返済のピークが始まるのに、その3ヶ月後の10月からインボイス制度を導入しようとしてるわけです。
鈴木:日本経済を破壊しかねないタイミングですよね。
神田:そう思わざるを得ないですよね。とんでもないタイミングだと思うんですけどね。ちょっと考えられない。
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【経歴】
1979年生まれ 京都市出身。
同志社大学経済学部卒業後、日本ユニシス株式会社(現BIPROGY 株式会社)入社。一貫して金融機関向けITシステム開発業務に携わる。
金融システム開発の現場で、2007年~2009年頃のリーマンショックによる経済の大混乱、強烈な景気後退、資産の激減などを目の当たりにする。
その経験から、「これからの日本人の合理的な資産形成・防衛に、正しい金融リテラシーが絶対に必要」という強い思いを持ち、2011年4月 株式会社トータス・ウィンズに入社。
中小企業に特化したリスクマネジメント対策のコンサルタントとして、500社以上の中小企業、1,000人以上の保険相談業務に携わる。2015年、代表取締役就任。
法人保険活用WEBサイト『点滴石を穿つ』を運営する一方で、法人向け保険代理店として、東京都中央区を中心にコンサルティング活動を行なう。
【趣味】
美術館巡り、千葉ロッテマリーンズの応援
【自己紹介】
中小企業向けの金融商品が数多ある中で、わたしは一貫して『100%顧客優位な商品選び』をポリシーに中小企業経営者向けの保険活用プランニングを行なってきました。
これまでのキャリアでの最大の学びは、『お金やお金の流れに関する知識や判断力=「金融リテラシー」は、私たちが社会の中で経済的に自立し、生き抜くために必要不可欠』ということです。
そして金融・保険に携わるプロとして、何よりお客様に対する誠実さ・真心・信頼関係より大切なものはないと考えています。
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